FAQ

よくある質問

開業前でも使える補助金はありますか?

多くの補助金は「すでに事業を営む事業者」を対象にしているため、開業前の段階では使えないものが大半です。開業前の資金は、日本政策金融公庫の創業融資など融資で確保するのが基本になります。補助金は、開業後に販路開拓や設備投資を行う段階で活用するもの、と考えると整理しやすくなります。

補助金と助成金はどう違いますか?

明確な線引きはありませんが、一般に補助金(経済産業省系)は予算や採択件数に限りがあり審査で採否が決まるもの、助成金(厚生労働省系)は要件を満たせば受給しやすい雇用・賃上げ関連のもの、という傾向があります。どちらも原則あと払いで、先に費用を支払い、後から一部が交付されます。

自分に合った補助金はどう選べばよいですか?

取り組みの目的と事業規模で選びます。販路開拓なら小規模事業者持続化補助金、業務ソフトやAIツールの導入ならデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)、設備投資を伴う製品・サービス開発ならものづくり補助金、既存事業と異なる新分野への進出なら新事業進出補助金が候補です。開業資金そのものの確保は創業融資が中心になります。

補助金は複数を同時に使えますか?

同じ経費に複数の補助金を重ねて使うことは原則できませんが、目的や対象経費が異なれば、別々の補助金を組み合わせて活用することは可能です。たとえば開業資金は創業融資で確保し、販路開拓は持続化補助金、業務システムの導入はIT導入補助金、というように役割を分けて使います。詳細な併用の可否は各制度の公募要領で確認してください。

補助金はいつ申請すればよいですか?

多くの補助金は公募期間が決まっていて、受付期間も限られています。そのため、対象になりそうな制度は早めに情報を集め、公募の開始にあわせて準備しておくことが大切です。申請には事業計画書などの書類が必要で、作成にも時間がかかります。公募が始まってから慌てないよう、事業計画や見積もりを前もって用意しておくとスムーズです。

補助金を受け取るまでにどれくらいかかりますか?

制度によりますが、申請から採択の発表まで数か月、その後に対象の取り組みを実施し、実績報告を経てから補助金が振り込まれます。原則あと払いのため、対象経費はいったん自分で支払う必要があり、受け取りまでに時間がかかります。その間の資金繰りを、自己資金や融資で用意しておくことが大切です。

創業や開業を考えると、補助金や助成金を活用したいと考える方は多いはずです。ただし制度は種類が多く、対象や目的もそれぞれ異なります。この記事では、創業・開業期に使える主な補助金・助成金・融資を一覧で整理し、目的別の選び方をまとめます。

各制度の詳しい解説は、それぞれの個別記事にリンクしています。金額や要件は年度・公募回ごとに変わるため、申請の際は各制度の公式サイトで最新の内容を確認してください。

主な補助金・融資の早見表

創業・開業期によく検討される制度を一覧にまとめます。補助率や上限額は代表的な枠のものです。

制度主な対象上限額(目安)補助率主な用途
創業融資(日本政策金融公庫)開業前後の事業者7,200万円(融資)―(融資・要返済)開業資金の確保
小規模事業者持続化補助金小規模事業者50万円〜(特例で最大250万円)2/3販路開拓
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)中小・小規模事業者枠により異なる(公式で確認)1/2〜(枠・要件による)AIを含むITツールの導入
ものづくり補助金中小・小規模事業者750万〜3,000万円1/2(小規模等2/3)設備投資・製品開発
新事業進出補助金中小企業2,500万〜9,000万円1/2(特例2/3)新分野への進出

創業融資は返済が必要な融資で、開業時にまとまった資金を確保する手段です。それ以外は返済不要な補助金ですが、いずれも採択審査があり、原則あと払いである点に注意が必要です。

補助金・助成金・融資は性質が違う

似た言葉ですが、性質が異なります。

  • 補助金: 主に経済産業省系の制度で、予算や採択件数に上限があり、審査を通った事業者が受けられます。返済は不要ですが、原則あと払いです。
  • 助成金: 主に厚生労働省系の制度で、要件を満たせば原則として受けられるものが多いです。雇用や賃上げに関するものが中心です。
  • 融資: 借りたお金で、返済が必要です。開業時にまとまった資金を確保する手段として使います。

補助金と助成金の違いは補助金と助成金の違いで詳しく整理しています。それぞれ性質が違うため、開業資金は融資と自己資金で固め、補助金・助成金は条件に合えば費用の一部を取り戻す、という組み合わせで考えると無理がありません。

開業前と開業後で使えるものが違う

補助金の多くは、すでに事業を営む事業者を対象としています。そのため、これから開業する段階で使えるものは限られます。

開業前は、日本政策金融公庫の創業融資などで開業資金を確保するのが基本です。開業後に販路を広げたり設備を導入したりする段階で、目的に合った補助金を活用する、という流れになります。資金計画を立てるときは、まず融資と自己資金で開業時の資金を固め、補助金は後から費用の一部を取り戻す上乗せと位置づけると安定します。

創業期に特化した支援制度(補助金以外も活用する)

開業期は、販路開拓型の補助金とは別に、創業者向けの優遇制度も使えます。代表的なものが、産業競争力強化法に基づく「特定創業支援等事業」です。

市区町村が国の認定を受けて、創業塾や継続的な個別相談などの「特定創業支援等事業」を実施しています。その支援を一定期間(自治体が定める回数・期間)受け、市区町村から証明書の交付を受けた創業者は、次のような優遇を受けられます。

  • 会社設立時の登録免許税の軽減: 株式会社は資本金の0.7%が0.35%に、最低税額も15万円から7.5万円に半額になります(合同会社は6万円が3万円に)。
  • 創業関連保証の特例: 無担保・第三者保証人なしの創業関連保証を、事業開始の6か月前から利用できます(通常は2か月前から)。
  • 日本政策金融公庫の新規開業資金などで、要件面の優遇を受けられる場合があります。

支援の内容・回数・申請窓口は自治体ごとに異なります。お住まいの市区町村の創業支援窓口や、商工会・商工会議所で確認してください。会社を設立して開業する予定なら、設立前にこの証明を受けておくと、登録免許税の軽減を受けられます。設立費用の全体像は 会社設立の手続きと費用 で整理しています。

このほか、自治体が独自の創業助成金(家賃や開業費用の一部補助など)を設けていることもあります。内容は年度や自治体で変わるため、公式の最新情報で確認します。

事業を引き継いで開業する場合の補助金

ゼロから開業するのではなく、既存の事業や店舗を引き継いで開業する場合は、事業承継・M&A補助金(旧 事業承継・引継ぎ補助金)が候補になります。後継者不在の事業を引き継ぐ創業(後継者承継・第三者承継)を後押しする国の制度です。主な枠は次のとおりです。

  • 事業承継促進枠: 親族内や従業員への承継を機に行う設備投資・販路開拓などを支援します。
  • 専門家活用枠: M&Aで事業を譲り受ける(または譲り渡す)際の、仲介会社やフィナンシャルアドバイザーなどの専門家費用を補助します。
  • PMI推進枠: 承継・M&A後の経営統合(PMI)の取り組みを支援します。
  • 廃業・再チャレンジ枠: 既存事業を廃業して再チャレンジする際の費用を支援します。

補助率は枠や事業者規模により2分の1〜3分の2が目安です。枠の構成・上限額・補助率・公募時期は年度ごとに見直されるため、申請時は事業承継・M&A補助金の公式サイトで最新の公募要領を確認してください。既存店舗を引き継ぐ形での開業を検討するなら、創業融資や持続化補助金と並べて、この制度も視野に入れると選択肢が広がります。

目的別の選び方

取り組みの目的に応じて、向く制度が変わります。

複数の制度を、目的や対象経費を分けて組み合わせることもできます。資金調達全体の組み立て方は、開業資金の調達方法で整理しています。

補助金申請の基本の流れ

多くの国の補助金は、電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」から申請します。申請には、法人・個人事業主向けの共通認証「GビズIDプライム」のアカウントが必要で、取得に時間がかかるため早めに準備します。一般的な流れは次のとおりです。

  1. GビズIDプライムの取得 — 申請に必須の認証アカウント。発行までに日数がかかります。
  2. 公募要領の確認 — 対象・補助率・上限・対象経費・締切を公式で確認します。
  3. 事業計画書・見積書の作成 — 採否を分ける中心的な書類です。
  4. 交付申請(jGrantsで電子申請) — 公募期間内に申請します。
  5. 審査・採択の発表 — 数週間から数か月かかります。
  6. 交付決定後に事業を実施 — 交付決定の前に発注・契約した経費は対象外になるのが原則です。
  7. 実績報告 — 経費の証拠書類(契約書・請求書・領収書など)をそろえて報告します。
  8. 補助金の入金 — 実績報告の確認後に振り込まれます(原則あと払い)。

重要なのは、交付決定の前に支払った経費は補助対象にならないのが原則という点です。先に発注してしまうと対象外になるため、必ず交付決定を待ってから契約・発注します。

不採択になりやすい点・注意点

補助金は申請すれば必ず受けられるわけではなく、事業計画の内容で採否が決まります。次の点でつまずきやすいので、申請前に確認します。

  • 事業計画が具体的でない: 補助事業の目的・効果・数値計画があいまいだと評価されにくくなります。
  • 対象経費の誤り: 補助の対象にならない経費を計上していると減額・不採択の原因になります。
  • 交付決定前の発注: 前述のとおり、交付決定前に契約・支払いをした経費は対象外です。
  • 締切直前の準備: 公募期間が短いため、GビズIDの取得や書類作成が間に合わないことがあります。
  • 加点要件の見落とし: 賃上げや特定創業支援等事業の証明など、加点につながる要件を満たしていないことがあります。

創業期に各制度を使えるタイミング

制度ごとに、開業前・開業時・開業後のどの段階で使えるかが違います。タイミングを誤ると、本来使えたはずの優遇を逃すことがあります。

制度開業前開業時開業後
創業融資(公庫)◎ 開業前に申込可
特定創業支援等事業の証明◎ 事前に取得◎ 登録免許税軽減に使う
小規模事業者持続化補助金◎ 販路開拓で活用
デジタル化・AI導入補助金◎ ツール導入で活用
ものづくり補助金◎ 設備投資で活用
事業承継・M&A補助金○ 承継準備◎ 承継・M&A時

ポイントは、開業前にしか得られない優遇があることです。特定創業支援等事業の証明は会社設立の前に受けておかないと、登録免許税の軽減を使えません。一方、販路開拓や設備投資の補助金は、開業後に取り組みを始める段階で活用します。開業前は融資と特定創業支援の証明、開業後は目的別の補助金、と段階で使い分けると無駄がありません。

雇用・賃上げに関する助成金

経済産業省系の補助金とは別に、厚生労働省は雇用や賃上げに関する助成金を設けています。たとえば業務改善助成金は、事業場内最低賃金の引き上げとあわせて設備投資などを行った場合に、その費用の一部を助成する制度です。

非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を支援するキャリアアップ助成金もあります。雇用関係の助成金は種類が多く、要件も細かく定められているため、対象になりそうな場合は厚生労働省の一覧で確認してください。

自分に合う制度の探し方

ここで紹介した制度のほかにも、国や自治体は多くの支援制度を設けています。次のような窓口で探すと、自分の事業に合うものを見つけやすくなります。

  • 国の補助金・助成金: 中小企業向けの情報サイト(ミラサポplusやJ-Net21など)で、目的や対象から検索できます。公募中の制度や公募要領も確認できます。
  • 電子申請: 多くの補助金は、国の電子申請システム(jGrants)から申請します。事前にGビズIDプライムの取得が必要です。
  • 自治体の制度: 都道府県や市区町村が独自の創業支援補助金・助成金を設けていることがあります。お住まいの自治体の創業支援窓口やサイトで確認します。
  • 専門家への相談: 商工会・商工会議所や、よろず支援拠点でも、制度の紹介や申請の相談ができます。

相談先は、目的によって使い分けると効率的です。何から手をつけるか整理したい段階では、各都道府県のよろず支援拠点が無料で相談に乗ってくれます。地域に密着した支援や特定創業支援等事業を受けたいなら、商工会・商工会議所が窓口です。事業計画のブラッシュアップや、補助金の加点につながる確認を受けたい場合は、国が認定した認定経営革新等支援機関(税理士・中小企業診断士・金融機関など)に相談する方法があります。補助金によっては、認定支援機関の関与が申請要件や加点になっているものもあるため、対象になりそうな制度の公募要領をあわせて確認しておくと、申請の準備がスムーズになります。

公募の時期は制度ごとに異なり、年に複数回の公募が行われるものもあります。年度替わり(春)に新年度の公募要領が公表されることが多いため、開業のタイミングが決まったら、使えそうな制度の公募スケジュールを早めに把握しておくと、準備期間を確保できます。

申請でつまずきやすい点

補助金は、制度が違っても共通して注意したい点があります。

  • 公募期間が短い: 公募の受付期間が限られているため、対象になりそうな制度は早めに情報を集めておきます。
  • あと払い: 対象経費をいったん全額支払い、実績報告のあとに補助分が振り込まれます。その間の資金繰りを用意しておく必要があります。
  • 採択審査: 申請すれば必ず受けられるわけではありません。事業計画の内容で採否が決まります。
  • 実績報告が必要: 採択後も、経費の証拠書類をそろえた実績報告が求められます。

開業前から進めておく補助金の準備

補助金は公募期間が短く、準備に時間がかかります。開業のタイミングが見えてきたら、申請の前に次の準備を進めておくと、いざ公募が始まったときに動きやすくなります。

  • GビズIDプライムの取得: 電子申請(jGrants)に必須で、発行に日数がかかります。開業準備の早い段階で申請しておきます。
  • 事業計画書の骨子づくり: 補助金の採否は事業計画で決まります。融資の創業計画書とあわせて、目的・効果・数値計画を整理しておきます。
  • 特定創業支援等事業の証明: 会社を設立して開業するなら、設立前に市区町村の支援を受けて証明を取り、登録免許税の軽減につなげます。
  • 見積書の準備: 設備やツールの導入を予定するなら、対象経費の見積もりを事前に取っておきます。
  • 公募情報の把握: ミラサポplusやJ-Net21、各制度の公式サイトで、使えそうな制度の公募スケジュールを確認しておきます。

開業直後は事業の立ち上げで忙しく、補助金の準備に手が回りにくくなります。開業前の比較的余裕があるうちに、これらの下準備を済ませておくと、開業後の販路開拓や設備投資のタイミングで補助金をスムーズに申請できます。

業種別の補助金活用も確認する

同じ補助金でも、業種によって使いどころや相性が異なります。各業界の開業・経営ページでは、その業態に合った補助金の活用例を整理しています。

まとめ

創業・開業期の補助金は、種類が多く、対象や使えるタイミングもそれぞれ違います。基本の戦略は、開業時のまとまった資金は創業融資と自己資金で固め、補助金は開業後の販路開拓や設備投資で費用の一部を取り戻す上乗せ、と役割を分けて考えることです。会社を設立するなら、設立前に特定創業支援等事業の証明を受けて登録免許税の軽減につなげ、事業を引き継ぐなら事業承継・M&A補助金も視野に入れます。いずれも公募期間が短く原則あと払いのため、GビズIDの取得や事業計画の準備を開業前から進めておくことが、補助金を取りこぼさないコツです。金額や要件は年度・公募回で変わるため、申請時は必ず公式の最新情報を確認してください。

参考・出典

本記事で取り上げた制度の詳細は、各制度の個別記事と公式サイトにまとめています。金額・要件・公募日程は年度・公募回ごとに変わるため、申請の際は各制度の公式サイトで最新の内容を確認してください。

関連情報

各制度の詳しい対象・上限額・申請の流れは、個別記事で確認できます。