この記事の目次
  1. 数字で見るドトールコーヒーショップ
  2. 加盟店は減り、直営店が増えている
  3. 本部に支払う初期費用は810万円、うち300万円は預け金
  4. 毎月かかるのはロイヤリティ2%だけではない
  5. 加盟店1店あたりの年商は概算で6,532万円
  6. 「オーナー年収」を公式データから出せない理由
  7. 契約条件で確認しておくべき5点
  8. 加盟条件と出店までの流れ
  9. コメダ珈琲店との比較で見えるもの
  10. 加盟を検討する前に確認すべきこと
  11. 向いている人・向いていない人
  12. 立地依存の業態で、店舗側にできることは何か
  13. 参考情報
  14. 加盟検討者の方へ
FAQ

よくある質問

ドトールコーヒーのフランチャイズの加盟金はいくらですか?

公式の情報開示書面によると、チェーン加盟金は150万円(別途消費税)です。これとは別に、出店準備金が1店舗につき150万円(別途消費税)、加盟保証金150万円、出店保証金が1店舗につき150万円かかります。さらに店舗設計監理料として110万円(別途消費税)に、店舗契約坪数から10坪を引いた坪数へ4万円を掛けた額が加算されます。標準的な35坪の店舗なら設計監理料は210万円となり、本部に支払う金額の合計は810万円です。このうち保証金300万円は、加盟保証金が契約終了後、出店保証金が営業終了後に、債権債務の清算を確認してから14日以内に返還されます。未払いの債務があれば相殺される場合があるため、全額が戻る前提では考えないほうが安全です。内外装工事費・厨房機器・物件取得費はこれとは別に必要です。

ドトールのロイヤリティは売上の何%ですか?

本部に報告された売上高(税抜)の2%です。毎月末で締め、翌月15日までに指定口座へ振り込みます。ただし本部に毎月支払うのはロイヤリティだけではありません。開示書面には、店舗総合管理システム使用料が1店舗あたり月額3万6,600円から、店内BGMの利用料が初期2万円と月額2,400円、ユニフォームレンタル費用が1名あたり月額456円からと記載されています。いずれも下限額の表記で、店舗により条件が異なるとされています。35坪の標準店舗で必要とされる約20名分のユニフォームを含めると、ロイヤリティ以外に月5万円前後の固定費が発生する計算です。商品の仕入代金はこれとは別に発生します。

ドトールのフランチャイズオーナーの年収はいくらですか?

公式に開示されている資料から年収を算出することはできません。開示書面には立地条件が類似する店舗の収支を記載する欄が設けられていますが、Webで公開されている書面では売上高・売上原価の欄が空欄で、人件費と販売費及び一般管理費については「把握していない」と記載されています。算出できるのは売上規模までで、2025年度の加盟店全体の売上高527億1,200万円を年度末の加盟店数807店で割ると、1店舗あたり年6,532万円、月商にして約544万円という概算になります。期中の開店・閉店を平均した数字ではなく、全国807店をならした値である点にも注意が必要です。ここから原価・人件費・家賃・本部への支払いを引いた残りがオーナーの利益ですが、その内訳は個別の商談で提示される数字を確認する必要があります。

ドトールのフランチャイズは未経験でも加盟できますか?

公式サイトに掲載されている加盟条件は、ドトールの経営理念に共感して実施できることと、出店に関する費用を用意できることの2点で、飲食業の経験は条件に挙げられていません。個人・法人のどちらでも加盟でき、外国籍の方は日本に居住し5年を超える永住権などの在留資格を持っていることが必要とされています。開業前には本部の教育機関であるIRP経営学院で15日間(座学10日・店舗研修5日)の研修を受講します。ただしオーナーは原則として店舗に入ることが求められ、法人での出店や多店舗展開の場合はマネジメントを担い、店長を自ら育成することが前提になります。

ドトールとコメダ珈琲店ではどちらが加盟しやすいですか?

投資規模と店舗の作り方が違うため、確保できる物件と資金で選ぶ判断になります。ドトールは一層店舗で概ね35坪以上、複層階ならワンフロア20坪以上が必要とされる駅前・商業地型のセルフカフェで、ロイヤリティは税抜売上の2%です。コメダ珈琲店は80〜150席規模のロードサイド型が中心で、建築工事費を含めると総額8,000万〜1億2,000万円規模になる一方、ロイヤリティは1席あたり月額1,500円の定額制です。売上が伸びるほど手元に残る設計を求めるならコメダ、投資規模を抑えて商業地の物件で始めたいならドトールという整理になります。

Chain Profile

チェーン基本情報

チェーン名ドトールコーヒーショップ
業種カフェ・喫茶
初期費用本部支払分 810万円〜(35坪・別途消費税/うち保証金300万円は清算確認後に返還)※内外装工事費・物件取得費は別途
ロイヤリティ売上高(税抜)の2%

カフェのフランチャイズを調べると、ドトールの加盟金もロイヤリティの料率も、媒体によって違う数字が並んでいます。研修日数のように、公式の資料に明記されている項目ですら食い違っていることがあります。

こうした情報のばらつきは、多くの記事が本部の募集ページと他媒体のまとめを参照して書かれているために起きています。実際には、ドトールコーヒーは中小小売商業振興法にもとづく情報開示書面を公式サイトで公開しています。加盟金もロイヤリティも、加盟店数の推移も、契約を途中で終了した店舗の数までそこに記載があり、2026年6月1日に更新された最新版を誰でもダウンロードできる状態です。

ビジネスモデルナビ編集部では、この開示書面と公式FC募集サイトの記載を突き合わせ、加盟を検討する立場で必要な数字を整理しました。本部の募集ページには書かれていないものの、法律にもとづいて開示されている事実が中心になります。

数字で見るドトールコーヒーショップ

項目内容
運営会社株式会社ドトールコーヒー(東京都渋谷区・資本金111億4,156万円・従業員1,007名)
設立1962年4月(ドトールコーヒーショップ1号店は1980年4月)
主要株主株式会社ドトール・日レスホールディングス 100%
店舗数(2025年度)1,074店舗(加盟店807店・直営店267店)
加盟店比率75.1%
全店売上高(2025年度)764億4,100万円(加盟店527億1,200万円・直営店237億2,800万円)
チェーン加盟金150万円(別途消費税・返還なし)
ロイヤリティ売上高(税抜)の2%
契約期間5年(更新料なし)
必要面積一層店舗で概ね35坪以上/複層階はワンフロア20坪以上
営業時間原則年中無休・7:30〜21:00

数字はいずれも公式の情報開示書面と公式FC募集サイトの記載です。加盟店が全体の75.1%を占めており、店舗網の主体は加盟店にあります。

加盟店は減り、直営店が増えている

開示書面には直近4年度の店舗数推移が加盟店と直営店に分けて記載されています。

年度加盟店直営店合計
2022年度830店238店1,068店
2023年度812店251店1,063店
2024年度806店267店1,073店
2025年度807店267店1,074店

全体の店舗数は4年間でほぼ横ばいですが、内訳は変化しています。加盟店は830店から807店へ23店減り、直営店は238店から267店へ29店増えました。加盟店比率は77.7%から75.1%へ下がっています。

この23店の減少がどう起きたのかも、開示書面から読み取れます。

年度新規に営業を開始した加盟店契約を中途で終了した加盟店
2023年度18店36店
2024年度16店22店
2025年度19店18店
ドトールコーヒーショップ加盟店の新規開店数と中途終了店舗数を年度別に比較した棒グラフ 0 10 20 30 40 店舗 18 36 2023年度 16 22 2024年度 19 18 2025年度 新規開店 中途終了
株式会社ドトールコーヒーの情報開示書面(2026年6月1日更新)に記載された、各年度に新規開店した加盟店と契約を中途で終了した加盟店の店舗数をもとに作図しました。

3年間の合計では、新規開店53店に対して中途終了76店です。この差が加盟店数の減少と一致します。

中途終了がそのまま経営の失敗を意味するとは限りません。後継者がいない、商業施設の区画がなくなる、本部が直営に切り替えるといった事情も中途終了に含まれ得ます。ただし開示書面に理由の内訳は記載されていないため、76店の内訳がどうであったかは書面からは分かりません。直営店が同じ期間に29店増えている点は、あわせて見ておく材料です。

一方で、同じ書面には更新されなかった契約が3年連続で0件と記載されています。契約期間の満了時に本部から更新を拒否された加盟者はいなかったことになります。訴訟についても、加盟店から提起された訴えと本部から提起した訴えがいずれも5年連続で0件です。書面から分かるのは訴訟に至った事案がないという事実までですが、加盟を検討するうえで確認しておいてよい材料です。

読み方をまとめると、募集が急拡大している局面ではなく、既存の加盟店が入れ替わりながら店舗網を維持している成熟したチェーンだといえます。年間16〜19店という新規開店のペースは、加盟希望者にとって枠が限られていることも意味します。

本部に支払う初期費用は810万円、うち300万円は預け金

情報開示書面が挙げる「加盟に際しお支払いいただく金銭」は4項目です。これに店舗設計に関する契約にもとづく監理料が加わります。

項目金額返還
チェーン加盟金150万円(別途消費税)なし
出店準備金1店舗につき150万円(別途消費税)なし
加盟保証金150万円契約終了後、清算確認から14日以内に返還
出店保証金1店舗につき150万円営業終了後、清算確認から14日以内に返還
店舗設計監理料110万円+(契約坪数−10坪)×4万円(別途消費税)なし

設計監理料は坪数に連動します。一層店舗の目安とされる35坪なら110万円+25坪×4万円で210万円、50坪なら270万円です。35坪で計算すると、本部に支払う金額の合計は810万円になります。

ドトールコーヒーショップ35坪店舗で本部に支払う初期費用810万円の内訳と、返還される保証金300万円を示した図 本部に支払う初期費用の合計 810万円(35坪の場合) チェーン加盟金 150万円 出店準備金 150万円 店舗設計監理料 210万円 加盟保証金 150万円 出店保証金 150万円 返還されない 510万円(別途消費税) 清算後に返還される保証金 300万円 内外装工事費・厨房機器・物件取得費・運転資金はこれとは別に必要です。 設計監理料は110万円+(契約坪数−10坪)×4万円で算出され、坪数に応じて変わります。
株式会社ドトールコーヒーの情報開示書面(2026年6月1日更新)に記載された金額をもとに、35坪の一層店舗を想定して作図しました。保証金は本部と加盟店の間に生じる一切の債務に対する担保で、加盟保証金はフランチャイズ契約終了後、出店保証金は当該店舗の営業終了後に、債権債務が清算されたことを確認してから14日以内に返還されると記載されています。加盟店に未払いの債務がある場合は対当額で相殺される場合があるとも定められており、全額が戻ることが保証されているわけではありません。

810万円という数字だけを見ると重く感じますが、性質は同じではありません。加盟金と出店準備金と設計監理料の510万円は戻らない費用で、これに消費税が加わります。保証金300万円は本部との間に生じる債務の担保として預けるもので、加盟保証金は契約終了後、出店保証金は営業終了後に、債権債務の清算を確認してから14日以内に返還されると定められています。ただし未払いの債務があれば対当額で相殺される場合があるとも書かれているため、全額が戻る前提では考えないほうが安全です。資金計画では、この300万円を費用ではなく長期間拘束される資金として扱うのが実態に近い見方になります。

もう一つ押さえておきたいのが、この810万円が総投資額ではないという点です。開示書面に記載があるのは本部に支払う金銭であり、内外装工事費・厨房機器・物件の保証金や賃料・開業前の運転資金は含まれません。カフェの店舗は工事と設備が投資額の大半を占めるため、総額は物件条件によって大きく変わります。他媒体に載っている「開業資金2,500万円〜」といった数字は本部が公表したものではないため、自分の物件条件で見積もりを取り直す必要があります。

なお開示書面には、本部がオープンアカウントや金銭の貸付・貸付のあっせんを実施していないと記載されています。つまり開業資金は、自己資金か金融機関からの借入で用意する形です。公式FAQによれば、希望すれば提携している金融機関を紹介してもらえます。

毎月かかるのはロイヤリティ2%だけではない

ロイヤリティは本部に報告された売上高(税抜)の2%で、毎月末に締めて翌月15日までに振り込みます。商標とサービスマークの使用料に加えて、メニュー開発・販促活動・経営マニュアルの作成と指導の対価が含まれると説明されています。

料率だけを見れば重い設定ではありません。ただし本部に毎月支払う費用はロイヤリティだけではなく、開示書面には付属契約にもとづく費用として次の金額が記載されています。いずれも下限額の表記で、店舗により条件が異なるとされています。

項目金額
店舗総合管理システム使用料1店舗 一式 月額3万6,600円から
店内BGM利用料初期費用2万円/月額受信料2,400円
ユニフォームレンタル費用1名分 月額456円から

公式FAQによれば、35坪の標準店舗では約20名の登録スタッフが必要とされています。ユニフォームを20名分借りると下限額で月9,120円、システム使用料とBGMを合わせると月次の固定費は約4万8,000円という計算になります。

ここに売上連動のロイヤリティが乗ります。後述する加盟店平均の月商544万円(税抜)で試算すると、ロイヤリティは月10万8,800円です。固定費と合わせて月15万7,000円前後、税抜月商に対して約2.9%になります。

売上が小さい店舗ほど、固定費の重みは相対的に大きくなります。税抜月商300万円なら同じ条件で約10万8,000円となり、月商比は3.6%です。いずれも下限額を前提にした概算で、後述する商品の仕入代金は含みません。ロイヤリティの料率だけで負担を判断せず、固定費を含めた実額で損益分岐点を引く必要があります。

商品の仕入れについても条件が定められています。コーヒー豆・ドリンク原料・パン類・洋菓子類・什器備品などは本部または本部が指定する事業者から供給を受ける仕組みで、返品は原則としてできません。卸価格は全店統一ですが、毎月のコーヒー豆の販売量に応じた販売奨励金の制度があると記載されています。

加盟店1店あたりの年商は概算で6,532万円

開示書面には全店売上高の推移も、加盟店と直営店に分けて記載されています。

年度加盟店売上高直営店売上高合計
2022年度428億5,100万円162億2,500万円590億7,600万円
2023年度475億4,100万円197億2,100万円672億6,200万円
2024年度496億7,500万円218億6,400万円715億3,900万円
2025年度527億1,200万円237億2,800万円764億4,100万円

合計欄は書面の記載をそのまま引用しています。加盟店と直営店の内訳を足すと2025年度は764億4,000万円となり、合計欄と100万円の差がありますが、これは開示書面の表の記載どおりです。

同じ書面に載っている店舗数で割ると、加盟店1店あたりの概算年商が出せます。年度末の店舗数で割った概算であり、期中の開店・閉店を平均した稼働店舗数ベースの数字ではありません。

年度加盟店1店あたり年商(概算)月商換算
2022年度5,163万円430万円
2023年度5,855万円488万円
2024年度6,163万円514万円
2025年度6,532万円544万円

店舗数がほぼ横ばいのまま、加盟店1店あたりの概算年商は3年間で26.5%伸びています。店舗を増やして売上を積み上げる形にはなっていないという意味で、成熟したチェーンの動き方です。ただしこの数字は店舗数で割った平均にすぎず、既存店の売上がどれだけ伸びたかを示すものではありません。既存店売上高の推移は開示書面には記載がありません。

直営店の1店舗あたり概算年商は2025年度で8,887万円と、加盟店を36%上回ります。この差が何によるものかは、開示書面からは判断できません。立地の性格や店舗規模の違いが影響している可能性はありますが、書面に説明はないため推測の域を出ません。いずれにせよ、直営店の水準を自店の目標に置くのは現実的ではありません。

この平均値の扱いにも注意が必要です。全国807店の平均であり、都心のオフィス街の店舗と地方の郊外店では売上規模が大きく異なります。自分が検討している物件で成立する売上は、商圏の人口と通行量から個別に見積もるほかありません。

「オーナー年収」を公式データから出せない理由

フランチャイズの記事では年収の目安が示されることが多いのですが、ドトールについては公式データから算出できません。

2021年の省令改正により、情報開示書面には「加盟者の店舗のうち、立地条件が類似するものの直近の3事業年度の収支に関する事項」を記載する欄が設けられました。売上高・売上原価・本部に支払う各種費用・人件費・販売費及び一般管理費を記載する様式です。

ドトールの開示書面にもこの様式は含まれていますが、Webで公開されている書面では売上高と売上原価の欄が空欄になっており、人件費と販売費及び一般管理費については「把握していない」と記載されています。本部はフランチャイズ契約の性質上、加盟店の人件費や販管費の実額を保有していないという整理です。

同じ書面には、売上予測値と収支予測値について、店前流動人口と商圏のポテンシャルを調査して既存の類似店データから算出するものであり、結果を保証するものではないとも書かれています。つまり収支の見通しは、加盟希望者ごとの個別の商談で、対象物件の条件にもとづいて提示される形になります。

加盟検討者として取るべき行動は決まっています。個別面談で提示された売上・収支の予測値を書面で受け取り、その前提となる想定客数・客単価・賃料・人件費を確認することです。公正取引委員会は、本部が予想売上や収益を示す場合には、その根拠となる事実や算定方法を明らかにすべきだとしています。他媒体に載っている年収の数字は本部が公表したものではないため、資金計画の前提には使えません。

契約条件で確認しておくべき5点

開示書面から読み取れる契約条件のうち、加盟後の自由度に関わる項目を整理します。

契約期間は、契約開始日以降で最初に到来する3月1日から満5年です。期間満了後も継続する場合は90日前までに協議して5年更新となり、更新料はかかりません。コメダ珈琲店の15〜20年、バーガーキングの20年といった例と比べると、5年は短い部類です。投資回収の期間と契約期間の関係は、自分の投資額で確認しておく必要があります。

加盟店側から解約する場合は90日前までの予告が必要です。予告期間を置かずに解約するときは、「{90日−(申入日から解約期日までの日数)}÷90日×300万円」という算式で違約金を請求される場合があると記載されています。即日の解約なら300万円、45日前の予告なら150万円という計算です。

テリトリー権は設定されません。開示書面には、加盟店に対して地域の独占権や一定商圏での営業権の設定は行わないと明記されています。自店の近隣に別の店舗が出店する可能性を前提に商圏を見る必要があります。加盟店比率が75%で全体の店舗数が横ばいという状況を踏まえると、既存商圏での急激な密集は起きにくいとみられますが、契約上の保護がない点は変わりません。

販売価格は加盟店が決められません。チェーンとして統一された価格で提供することに同意し、本部の承諾なく値引販売はできないと定められています。メニューについても本部の指定するものを使用し、許可なく販売の変更や中止はできません。地域の相場に合わせて価格を調整する運営はできない設計です。

競業禁止と守秘義務も定められています。契約期間中は直接・間接を問わず類似の事業を行えず、競合する第三者との契約も結べません。守秘義務は契約終了後も継続します。事業活動上の損失に対する補償は行わないとも明記されています。

加盟条件と出店までの流れ

公式サイトに掲載されている加盟条件は2点です。ドトールコーヒーの経営理念に共感してそれを実施できること、そして出店に関する費用を用意できることが挙げられています。個人・法人のどちらでも加盟でき、飲食業の経験は条件に含まれていません。外国籍の方については、日本に居住し5年を超える永住権などの在留資格を持っていることが必要とされています。

出店までは12のステップが公式に示されています。個人面談・ディスカッション・店舗見学で加盟の意志と理念への共感を確認したあと、出店者登録・物件情報収集・立地調査へ進みます。事業計画書の作成と出店の意思決定を経て、物件確保と加盟契約に至る流れです。契約後はキックオフミーティング・研修・工事と引き渡しを経てグランドオープンとなります。

物件については、原則として加盟者自身が探します。公式FAQには、本部が入手した物件情報を紹介する場合もあるものの、情報収集の方法についてレクチャーを受けたうえで、出店を希望するエリア内の物件を自分で探してもらうと記載されています。物件を確保できるかどうかが開業時期を左右する構造です。

説明会は開催されていません。集合形式ではなく、エリア専任の店舗開発担当が個別に面談する形式が取られています。問い合わせ窓口は店舗開発部のフリーダイヤル(0120-88-1255・平日9:30〜17:00)です。

研修は1987年に開設された教育機関、IRP経営学院で15日間受講します。内訳は座学10日間と店舗研修5日間で、経営理念・コーヒーの基礎知識・厨房機器の取り扱い・接客とレジ操作・メニュー調理・衛生管理・ストアマネジメントを学び、最後に修了試験があります。営業にあたっては、研修を修了した者を最低1名以上店舗に常勤させることが条件です。

開業後は本部社員によるショップコンサルタントが月1〜3回巡回して助言と指導を行います。このほか店長会議が月1回、エリアオーナー会が年1〜2回、チェーンオーナー会が年1回、新メニューの調理実習が年4回設けられています。

コメダ珈琲店との比較で見えるもの

カフェのフランチャイズを検討する際、ドトールと比較対象になりやすいのがコメダ珈琲店です。同じカフェでも設計が大きく異なります。ドトール側の数値は情報開示書面と公式FC募集サイト、コメダ珈琲店側の数値はコメダ珈琲店フランチャイズ公式とコメダホールディングスの開示資料にもとづくもので、出所が異なる点はご了承ください。

項目ドトールコーヒーショップコメダ珈琲店
業態駅前・商業地型のセルフカフェロードサイド型のフルサービス喫茶
必要面積一層35坪以上/複層階はワンフロア20坪以上80〜150席規模
ロイヤリティ税抜売上の2%1席あたり月額1,500円の定額制
総投資額の目安本部支払分810万円+工事費・物件費建築工事費込みで8,000万〜1億2,000万円規模
契約期間5年(更新料なし)15〜20年
加盟店比率75.1%9割以上

ロイヤリティの方式が対照的です。ドトールは売上連動の2%なので、売上が落ちれば本部への支払いも減ります。コメダは席数に応じた定額なので、売上が伸びるほど負担率が下がる代わりに、売上が落ちても支払額は変わりません。売上の変動に対する耐性を重視するならドトール、繁盛したときの取り分を重視するならコメダという整理になります。

投資規模の差も大きく、契約期間も5年と15〜20年で異なります。とはいえ実際に選択を規定するのは、ロードサイドの土地を確保できるか、商業地のテナント区画を確保できるかという物件の条件でしょう。カフェのフランチャイズ全体の比較はカフェFCの本部比較で整理しています。

加盟を検討する前に確認すべきこと

  1. 情報開示書面の最新版を公式サイトからダウンロードし、加盟金・保証金・ロイヤリティ・違約金の記載を自分で確認する
  2. 検討している物件の坪数で店舗設計監理料を算出し、本部に支払う初期費用の合計を出す
  3. 内外装工事費・厨房機器・物件取得費・運転資金を含めた総投資額の見積もりを取る
  4. 個別面談で提示された売上・収支の予測値を書面で受け取り、想定客数・客単価・賃料の前提を確認する
  5. 損益分岐点を、ロイヤリティ2%だけでなく月次の固定費を含めた実額で計算する
  6. 契約期間5年と投資回収期間の関係を、自分の投資額で検証する
  7. テリトリー権がないことを前提に、商圏内の他店舗との距離と将来の出店可能性を確認する
  8. 35坪の店舗で約20名という登録スタッフを、自分の商圏で採用・維持できるか検討する
  9. 既存の加盟オーナーから直接話を聞く機会を求める

向いている人・向いていない人

向いている

商業地や駅前でテナント物件を確保できる見込みがある方は、この業態と条件が合います。35坪前後の区画が対象になるため、ロードサイド型に比べて物件の選択肢は広く、投資額も抑えられます。

自ら店舗に入って運営する意志がある方も適しています。オーナーは原則として入店することが求められる設計で、店長として現場に立つか、多店舗展開の場合は店長を育成してマネジメントを担う前提です。

売上の変動リスクを抑えたい方にも合います。ロイヤリティが売上連動の2%で、契約期間が5年と短めなので、環境が変わったときの選択肢を残しやすい構造です。

向いていない

投資して運営を任せる形を想定している方には向きません。オーナーの入店が原則とされており、資本参加だけで運営に関わらないモデルは想定されていません。

1店舗あたりの利益がどれくらい残るかを事前に把握したい方も、慎重に進める必要があります。公開されている資料から分かるのは概算の売上規模までで、利益は個別の商談で提示される収支見通しを検証しないと判断できません。

商圏の独占を重視する方にも合いません。テリトリー権が設定されないため、契約上は近隣への出店を制限できません。価格を自分で決めて地域の相場に合わせる運営を望む場合も、本部の価格方針に従う設計とは合いません。

立地依存の業態で、店舗側にできることは何か

セルフカフェは通行量に売上が左右される業態です。ブランドの認知度も高く、加盟店が自力で集客する余地は他業種より小さく見えます。実際に開示書面でも、販促活動はロイヤリティの対価に含まれる本部の業務とされています。

それでも店舗側の運営で差がつく部分は残ります。地図検索で店舗情報が正しく表示されているか、営業時間や設備の情報が最新か、口コミにどう対応するかは店舗の担当領域です。オフィス街と住宅地では利用の時間帯と目的が違うため、モーニングやテイクアウトの訴求をどこに向けるかでも数字は動きます。近隣のオフィスや施設との関係づくりは、通行量だけでは取り切れない需要を拾う手段になります。

当社はフランチャイズ本部の加盟店開発を支援するBPOと、開業後の店舗のエリアマーケティング支援の両方を手がけています。カフェのように商圏が徒歩圏に限られる業態では、商圏内の昼間人口と通行動線をどう読むかで出店判断の精度が変わり、開業後は地図検索の見え方と近隣への告知が来店数を大きく左右するでしょう。折込・ポスティングといったオフライン施策からローカルSEO、リスティング広告までを一気通貫で設計・運用してきた事例がありますので、物件を検討している段階の商圏分析からご相談いただけます。

参考情報

加盟検討者の方へ