この記事の目次
  1. 本部が公表している数字と、公表していない数字
  2. 加盟金と保証金
  3. 「2%」の外にある固定費
  4. 何店が新しく始め、何店がやめているか
  5. 訴訟は5年間ゼロ
  6. テリトリー権はない
  7. 契約期間と、やめるときの負担
  8. 加盟者に求められる体制
  9. 営業時間は年中無休・1日14時間以上が原則
  10. 仕入れと価格は本部が決める
  11. 加盟後に受けられる指導
  12. 開業資金について公表されていること
  13. 募集地区と応募条件
  14. 本部はどういう会社か
  15. マクドナルドとの違いをどう見るか
  16. 向いている場合と、向いていない場合
  17. 説明会で確認しておきたいこと
  18. 参考情報
  19. この業界の関連情報
FAQ

よくある質問

モスバーガーのフランチャイズの加盟金・保証金はいくらですか?

本部が交付する情報開示書面には、加盟金は新規加盟200万円、第2号店175万円、第3号店以降150万円(いずれも税別)と記載されています。加盟金は一切返還されません。保証金は40万円で、契約終了後の措置が完了した日から2か月以内に、残債務を差し引いた残額が返還されます。保証金に利息は付きません。経営または財務の安定性を欠くと本部が判断した場合、保証金の追加預託を求められることがあります。なお公式のFC募集サイトには金額の記載がなく、これらは加盟の勧誘時に交付される情報開示書面で確認できる数字です。

モスバーガーのロイヤリティは本当に業界最低水準ですか?

売上に連動する部分は、ロイヤルティが総売上高の1%、広告宣伝費が同じく1%で、合計2%(いずれも税別)です。飲食フランチャイズとしては低い水準です。ただし情報開示書面には、これとは別に月額で発生する費用が並んでいます。共栄会費5,000円、支部会費3,000〜11,000円、POSレンタル料15,800円〜、ホットコーヒーマシンのレンタル料18,500円(&カフェ店舗は25,000円)、看板のレンタル料と保守料、コスチュームのレンタル料などです。当編集部が開示書面の金額を積み上げると月4〜9万円程度になり、月商500万円の店舗なら実質的な本部への支払いは2.9〜3.8%相当になります。月商が小さいほど固定費の比重が上がるため、2%という数字だけで判断すると見誤ります。

モスバーガーのフランチャイズは、実際にどれくらいの店舗がやめていますか?

情報開示書面によると、直近3事業年度で新たに営業を開始した加盟店の店舗数は2023年度11店、2024年度22店、2025年度25店です。一方、契約を中途で終了した店舗数は2023年度4店、2024年度15店、2025年度14店でした。3年間で新規58店に対し中途終了33店という比率になります。また「合意による解約を除き、更新されなかった加盟店の店舗はない」と明記されており、本部側から契約更新を拒否された店舗はありません。加盟者または元加盟者との訴訟は、2021年度から2025年度までの5事業年度すべてで、本部から提起したものも本部が提起されたものも0件です。

モスバーガーにテリトリー権はありますか?

ありません。情報開示書面には「テリトリー制を採用していない。そのため、将来近隣地区にフランチャイザーまたはフランチャイジーの店舗を出店させることがある」と明記されています。自店の近くに本部の直営店や他の加盟店が出店する可能性があるということです。公式FC募集サイトのFAQにも「物件の近隣にモスがありますが、出店できますか」という項目があり、近隣の店舗配置が加盟検討時の論点になっていることがうかがえます。実際の出店計画は個別の商圏によって変わるため、検討している物件の周辺で本部がどのような出店方針を持っているかは、説明会や面談で直接確認してください。

契約期間5年とは、いつから数えて5年ですか?

情報開示書面には「契約締結日以降最初に到来する4月1日から起算して満5年間」と記載されています。契約日が4月1日の場合のみ、その日から5年です。つまり5月に契約した場合、翌年4月1日からの5年間となり、契約から満了まで実質的に約5年11か月になります。期間満了の6か月前から本部と加盟者が再契約について協議し、双方が合意した場合に限り再契約されます。契約に違反した場合の違約金は、違反の内容と継続日数に応じて1日あたり10万円または50万円を日数に乗じた額と定められており、マニュアルの保管義務や守秘義務に違反した場合は200万円です。これを超える損害が生じた場合は、別途賠償を請求されることがあります。

開業資金はいくら必要ですか?

公式FC募集サイトのFAQでは「店舗形態により異なりますが、ビルイン店舗の場合おおよそ4,000万円以上の資金が必要です。詳しくは説明会にてご質問ください」と案内されています。公式が公表している開業資金の数字はこれだけで、ロードサイド店舗の金額や内訳は公表されていません。新規加盟における融資制度は用意されておらず、開業資金は原則として自分で準備することになります。FC募集媒体にはより細かい金額が掲載されていることがありますが、それらは本部の公表値ではないため、実際の資金計画は説明会と情報開示書面の内容にもとづいて立ててください。

Chain Profile

チェーン基本情報

チェーン名モスバーガー
業種ファストフード・ハンバーガー
初期費用加盟金200万円・保証金40万円(法定開示書面)。開業資金はビルイン店舗でおおよそ4,000万円以上(公式FAQ)
ロイヤリティロイヤルティが総売上高の1%、広告宣伝費が同1%(いずれも消費税を加えた額・法定開示書面)。別途、月額固定費あり

ロイヤリティが月商の1%と聞いて、モスバーガーの加盟を調べ始めた方が多いと思います。飲食フランチャイズで1%は確かに低い水準です。

ただし、本部に支払うお金は1%だけではありません。広告宣伝費が別に1%、さらにその外側に、売上とは関係なく毎月かかる費用が並んでいます。共栄会費、POSのレンタル料、コーヒーマシンのレンタル料、看板の保守料。これらは公式のFC募集サイトには載っていません。

本部が加盟の勧誘時に交付する「情報開示書面」には、これらがすべて金額つきで書かれています。 飲食業のフランチャイズは中小小売商業振興法の対象なので、本部には交付と説明の義務があります。モスフードサービスの場合、日本フランチャイズチェーン協会のサイトで2026年7月1日作成の版が公開されており、契約前でも読めます。

この記事では、その101ページの書面から、加盟を判断するうえで効いてくる数字を取り出して整理しました。公式サイトに載っている数字、開示書面にしかない数字、どちらにも載っていない数字を分けて示します。

本部が公表している数字と、公表していない数字

最初に、どの数字がどこから来ているかを整理します。フランチャイズの情報は出所によって重みが違うため、ここを混ぜると判断を誤ります。

情報の出所何が分かるか確認できる場所
情報開示書面加盟金・保証金・ロイヤルティ・月額費用・契約期間・違約金・退店数・訴訟件数・テリトリー法定の交付書面。JFAサイトでも公開
公式FC募集サイト開業資金の目安・契約期間・融資制度の有無・研修期間・募集地区モスフードサービス公式FAQ
FC募集媒体各社が独自に掲載する金額本部の公表値ではない

公式のFC募集サイトには、加盟金もロイヤリティも金額が書かれていません。 開業資金についても「ビルイン店舗の場合おおよそ4,000万円以上」という一文があるだけです。募集媒体にはもっと細かい数字が並んでいますが、それらは本部が公表したものではないため、この記事では開示書面の数字を優先しています。

加盟金と保証金

情報開示書面に記載されている金額です。

項目金額(税別)性質と返還
加盟金(新規加盟)200万円一切返還されない
加盟金(第2号店)175万円同上
加盟金(第3号店以降)150万円同上
保証金40万円契約終了後の措置完了日から2か月以内に、残債務を差し引いて返還。利息は付かない

加盟金は2号店・3号店で下がります。複数店舗を前提にするなら、この逓減は資金計画に効いてきます。

加盟金の性質として書面に挙げられているのは、ノウハウ開示の対価、商標・サービスマーク使用許諾の対価、店舗造作の企画料、什器備品の企画料、開店時の宣伝広告の企画料、開店までの一切の指導に対する対価です。開店にたどり着かなかった場合でも返還されません。

保証金については、経営または財務の安定性を欠くと本部が判断したときに追加の預託を求められることがある、と書かれています。

研修は開店前に本部指定のものを受講し、直営店での実習を行います。研修費用は加盟者の負担と書面に明記されていますが、金額の記載はありません。公式FAQでは研修期間を約1か月としています。

「2%」の外にある固定費

ここがこの記事でいちばんお伝えしたい部分です。

売上に連動して本部に支払うのは、ロイヤルティ1%と広告宣伝費1%の合計2%です。書面の表現では、それぞれ「毎月の総売上高の1%に消費税を付加した金額」となっています。ただし開示書面には、これとは別に月額で発生する費用が並んでいます。

費用金額(税別)
共栄会費月額5,000円
支部会費月額3,000〜11,000円(支部により異なる)
POS機器レンタル料月額15,800円〜(台数・接続機器により変動)
ホットコーヒーマシンレンタル料月額18,500円(&カフェ店舗は25,000円)/1台
看板レンタル料月額1,400〜20,100円/1台(種類・台数・仕様により変動)
看板保守料月額1,600円・2,400円・2,600円・3,900円のいずれか
コスチュームレンタル料月額320円/1セット
インターネットシステム利用料1人目無料、2〜3人目 各2,000円、4人目以降 各1,000円

このほかに、厨房機器の点検がおよそ4万円から、換気設備の点検がおよそ7万円からかかります。新店はオープンから5年経過後に実施し、以降は3年ごとです。厨房機器の点検は本部手配が必須と注記されています。

衛生検査の費用、警備請負契約の費用、インストラクター派遣の費用も、それぞれ加盟者の負担と書面に書かれています。

当編集部が上の項目を積み上げると、店舗の条件によって月4万7千円から8万9千円程度になります。 これは本部が公表している数字ではなく、開示書面の各項目から当編集部が試算したものです。

幅の前提を書いておきます。低いほうは、支部会費を最低額、システム利用者を1人(無料)、看板を1台で最低額、コーヒーマシンをレギュラー店舗、POSを下限、コスチュームを5セットとした場合です。高いほうは、支部会費を最高額、システム利用者を4人、看板を1台で最高額、コーヒーマシンを&カフェ店舗、コスチュームを10セットとした場合です。看板の台数や設備の構成が変われば、この幅の外に出ることもあります。

この固定費を月商に対する比率に直すと、次のようになります。

月商に対する実質的な本部への支払い比率 売上連動2% + 月額固定費(4.7万〜8.9万円)を合算した場合 売上連動のみ 2.0% 2.9〜3.8% 月商500万 2.6〜3.1% 月商800万 2.5〜2.9% 月商1,000万 2.3〜2.6% 月商1,500万

棒の高さは固定費が上乗せする分。月商が小さいほど、2%との差が開きます。

情報開示書面(2026年7月1日作成)の各費目から当編集部が試算。店舗の設備台数・登録人数により変動します。

月商1,500万円の店舗なら2%との差は0.3〜0.6ポイントですが、月商500万円だと0.9〜1.8ポイント開きます。立ち上げ期や小商圏の店舗ほど、固定費の重さが効いてきます。

ロイヤリティが低いから儲かる、と単純には言えないのはこのためです。負担率で見るなら、比較すべきは2%ではなく、自分が見込む月商での実質値です。

売上が落ちてもこの固定費は下がりません。ロイヤリティが売上連動である利点は、売上が落ちたときに負担も減ることですが、固定費部分にその効果はありません。

何店が新しく始め、何店がやめているか

情報開示書面には、直近3事業年度の店舗数の推移が載っています。加盟を検討するときに最も知りたい数字のひとつです。

年度加盟店直営店合計
2023年度1,266451,311
2024年度1,273451,318
2025年度1,270401,310

合計店舗数はこの3年でほぼ横ばいです。その内訳を見ると、動きが分かります。

加盟店の新規開店と中途終了(直近3事業年度) 新規に営業を開始した店舗 契約を中途で終了した店舗 11 4 2023年度 22 15 2024年度 25 14 2025年度

3年間の合計は新規58店に対し、中途終了33店

情報開示書面(2026年7月1日作成)より。中途終了には契約解除と合意による中途終了の両方が含まれます。合意による解約を除き、更新されなかった店舗はありません。

3年間で新規に58店が開き、33店が契約を中途で終了しています。新規のおよそ6割にあたる数の店舗が、同じ期間に契約を終えていることになります。

ただし、この数字をそのまま「失敗が多い」と読むのは早いです。書面が示しているのは、契約解除によるものと、合意による中途終了の両方を合わせた数です。経営が立ち行かなくなった閉店なのか、オーナーの引退や事業の引き継ぎにともなう合意解約なのかは、書面からは分かりません。説明会で「中途終了の主な理由の内訳」を聞くのが確実です。

書面には「合意による解約を除き、更新されなかったフランチャイジーの店舗はない」とも書かれています。本部側の判断で契約更新を打ち切られた店舗が3年間でゼロ、ということです。

訴訟は5年間ゼロ

情報開示書面には、直近5事業年度の訴訟件数が記載されています。

年度加盟者・元加盟者から提起された訴え本部から提起した訴え
2021年度00
2022年度00
2023年度00
2024年度00
2025年度00

5年間、双方向とも0件です。 フランチャイズの本部と加盟者の関係は、条件そのものより「揉めたときにどうなるか」で差が出ます。訴訟に至った事案が5年間ないという事実は、契約条件の数字と同じくらい判断材料になります。

もちろん、訴訟に至っていないことと、不満がないことは違います。それでも、加盟者側から本部を訴えた例が5年間ないという事実は、条件の数字と並べて見る価値があります。他のチェーンを検討する際も、開示書面のこの欄を確認してみてください。

テリトリー権はない

近隣に同じ店が出るかどうかは、加盟後の売上を直接左右します。書面の記載は明確です。

テリトリー制を採用していない。そのため、将来近隣地区にフランチャイザーまたはフランチャイジーの店舗を出店させることがある。

自店の近くに本部の直営店や他の加盟店が出る可能性がある、ということです。 契約でそれを制限する仕組みは設けられていません。

公式FC募集サイトのFAQにも「物件の近隣にモスがありますが、出店できますか」という項目があり、近隣の店舗配置が加盟検討時の論点になっていることがうかがえます。検討している商圏について本部がどういう出店方針を持っているかは、契約前に必ず確認してください。

契約期間と、やめるときの負担

契約期間は「5年」と紹介されることが多いのですが、書面の定義は少し違います。

契約締結日以降最初に到来する4月1日から起算して満5年間。ただし、契約締結の日が4月1日である場合には、この日から起算して満5年間とする。

つまり4月2日に契約すると、起算は翌年の4月1日です。契約日から満了までは、最長で約6年になります。 3月中の契約なら数日後に起算されるため、ほぼ5年です。契約月によって拘束される期間が1年近く変わります。

再契約は、期間満了の6か月前から双方が協議し、合意した場合に限り行われます。自動更新ではありません。

契約に違反した場合の違約金も定められています。

違反の種類違約金
違反状態が継続した場合違反内容に応じて1日あたり10万円または50万円 × 継続日数
マニュアルの保管義務・守秘義務の違反200万円

いずれも、これを超える損害が発生した場合には別途賠償を請求できると書かれています。1日50万円という設定は、違反状態を放置した場合の金額の伸び方が大きいことを意味します。

競業禁止についても定めがあります。契約期間中は、ハンバーガーを主力商品とした店舗の運営、食品にかかわるフランチャイズ本部としての事業展開、他のハンバーガーチェーンへの加盟が禁止されます。契約終了後も2年間、本部の事業と競合する事業を行うことが禁止されます。

事業活動上の損失に対する補償制度は設けられていません。

加盟者に求められる体制

書面には、加盟者に課される特別の義務が列挙されています。人の配置に関わるものが実務上は重くなります。

  • 本部が指定する教育指導を修了した者を常時2名以上在籍させること(費用は加盟者の負担)
  • そのうち少なくとも1名は、本部が認定するマスターライセンス資格を取得すること
  • 本部指定の情報端末機器(POS)を店舗に設置・使用すること
  • 本部が指定する者による衛生検査を受けること(原則として検査費用は加盟者の負担)
  • 本部が相当と認める内容の警備請負契約を締結すること(費用は加盟者の負担)
  • モスバーガー共栄会の会員となり、開催行事に参加すること
  • 営業設備の定期点検を実施すること

研修修了者を常時2名以上という要件は、人が抜けたときに補充が必要になるということです。オーナー1人が資格を持っていれば足りる構造ではありません。 採用と育成の計画は、開業前から織り込んでおく必要があります。

営業時間は年中無休・1日14時間以上が原則

条件のなかで、生活と人件費に最も直接影響するのがここです。書面の記載はこうなっています。

原則として年中無休、1営業日当たり9時〜21時を含む14時間以上とする。

立地環境などの事情で営業時間を変更する必要が生じたときは、本部が書面で承諾した場合にのみ変更できます。加盟者の判断だけで短縮することはできません。

ハンバーガー店の厨房でグリドルとフライヤーを使い、2人のスタッフが調理しているところ
1日14時間を年中無休で回す前提に立つと、必要な人員と人件費が決まります。写真はイメージで、AIで生成したものです。特定の店舗を撮影したものではありません。

1日14時間を年中無休で回すには、オーナー1人では成立しません。開店前の仕込みと閉店後の清掃を含めれば拘束時間はさらに伸びます。人件費の試算は、この営業時間を前提に組む必要があります。

なお公正取引委員会は、フランチャイズ本部が営業時間の短縮について協議を拒絶することを、優越的地位の濫用に該当しうる行為の例として挙げています。将来的に営業時間の見直しを相談したい場合、どのような手続きで協議されるのかは、契約前に確認しておく論点です。

仕入れと価格は本部が決める

原価率を自分でコントロールできるかどうかは、利益構造を左右します。書面を読むと、この裁量はほとんどありません。

本部または本部が指定する供給者から仕入れるのは、パティ、テリヤキソース、野菜、チーズ、カップ類、包装資材といった主材料と副資材、それに店舗用の什器備品と消耗品です。

書面には、加盟者は本部の指定する商品を販売しなければならず、理由の如何にかかわらず指定商品以外を販売してはならない、と書かれています。調理の方法も販売の方法も本部の指定に従います。販売価格についても本部の指定する方法に基づくと明記されています。

飲食店のバックヤードに搬入された段ボール箱とコンテナ、業務用冷蔵庫
仕入れ先は本部または本部が指定する供給者に限られます。写真はイメージで、AIで生成したものです。特定の店舗を撮影したものではありません。

配送は、本部の契約物流センターの在庫品が水曜を除く週6日、パンなどの日配品が毎日です。発注から納品までは在庫品で2日、メーカー直送品は3〜7日程度かかります。

納品時間について、書面は「フランチャイジーに対し、保証をしない」と明記しています。開店前の無人納品(鍵を預ける方式)または営業時間内の納品が原則です。

つまり、原価を下げるために仕入先を変える、という打ち手は取れません。 値付けについても本部の指定する方法に従うため、自分の判断で価格を動かせる範囲は限られます。加盟者が動かせるのは、人件費、廃棄ロス、光熱費、そして売上をどう作るかです。低いロイヤリティを利益に変えられるかどうかは、この限られた変数をどこまで詰められるかで決まります。

加盟後に受けられる指導

書面に記載されている継続的な支援は次のとおりです。

  • スーパーバイザーによる定期的な巡回指導
  • 経営資料をもとにした毎月の経営分析
  • 必要に応じたインストラクターなど指導員の派遣(費用は加盟者の負担)
  • 集合教育の実施

開店前の研修は、机上訓練と実習訓練、直営店実習で構成されます。机上訓練では経営理念、衛生知識、商品知識、接客の基礎、マネジメントを扱い、実習訓練では接客、オペレーション、メンテナンスを学びます。

毎月の経営分析が仕組みとして入っている点は、数字を見る習慣が本部側から用意されているということです。一方で、指導員の派遣は費用が加盟者負担なので、必要になったときにいくらかかるのかは事前に確認しておく項目になります。

開業資金について公表されていること

公式FC募集サイトのFAQには、次のように書かれています。

店舗形態により異なりますが、ビルイン店舗の場合おおよそ4,000万円以上の資金が必要です。詳しくは説明会にてご質問ください。

公式が公表している開業資金の数字はこれだけです。 ロードサイド店舗の金額も、内訳の構成も、公表されていません。FC募集媒体にはより細かい数字が掲載されていることがありますが、本部の公表値ではないため、この記事では採用していません。

新規加盟における融資制度は用意されておらず、開業資金は原則として自分で準備することになります。物件を持っていなくても加盟は可能とされています。

収支の例についてもFAQは「店舗形態や売上によって異なりますので、詳しくは説明会にてご質問ください」としており、モデル収支は公開されていません。

なお開示書面には、本部が独自の売上予測システムで予測値を算出し、それを参考にした収益試算表を作成して出店判断を行っていると書かれています。同時に「これらの数値はあくまで予測数値であり、チェーン本部がその収益を保証するものではありません」とも明記されています。説明会で収支の試算を見せられたときは、その数字の前提条件を必ず確認してください。

募集地区と応募条件

公式FAQに記載されている内容です。

項目内容
募集地区主に首都圏・関西圏
年齢制限なし。ただし自らが店舗運営に関わり続けることが前提
物件持っていなくても加盟可能
融資制度なし
研修期間約1か月(店舗実習と本部座学)

「自らが店舗運営に関わり続けることが前提」という一文は、投資目的やリモート運営を想定していないことを示しています。

本部はどういう会社か

株式会社モスフードサービスは1972年7月の設立です。翌1973年11月に愛知県でフランチャイズ1号店の「モスバーガー新瑞店」が開店しています。株式は1988年3月に東京証券取引所市場第二部へ上場し、1996年9月に第一部へ指定替えされました。半世紀にわたってフランチャイズで店舗を増やしてきたチェーンです。

加盟を検討するうえで見ておきたいのは、グループの構成です。開示書面の関係会社一覧には、次の会社が記載されています。

関係会社本部との関係内容
株式会社モスクレジット保険契約の委託、レンタル資産の貸借、商品の販売、金銭貸付
株式会社エム・エイチ・エス食品衛生検査の委託、商品の仕入

前の章で見たPOSやコーヒーマシンのレンタル料、そして加盟者負担とされる衛生検査の費用は、こうしたグループの構造のなかで提供されます。どの会社と何の契約を結ぶことになるのかは、契約書と説明会で確認できます。

農業生産法人の設立が2006年以降くり返し行われている点も、このチェーンの特徴です。静岡、群馬、熊本、北海道、長野、千葉に生産法人が設立されており、野菜の調達に自前の仕組みを持っています。

マクドナルドとの違いをどう見るか

ハンバーガーチェーンで比較対象になるのはマクドナルドです。ただし両社は開示の状況が違うため、同じ粒度で並べられる項目は限られます。

モスバーガーは情報開示書面が公開されているため、条件を数字で確認できます。マクドナルドについては、当サイトのマクドナルドのフランチャイズで確認できる範囲を整理しています。

構造の違いとして押さえておきたいのは次の点です。モスバーガーは売上連動の負担が軽い一方、月額固定費があり、契約期間は5年(実質は最長で約5年11か月)です。テリトリー権はありません。加盟金は2号店以降で下がるため、複数店舗を持つほど1店あたりの初期負担は軽くなります。

売上連動部分の比率だけで2つを比べると、判断を誤ります。 固定費、契約期間、更新の仕組み、テリトリーの有無まで並べて初めて比較になります。

向いている場合と、向いていない場合

ここまでの条件から整理します。

向いていると考えられるのは、次のような場合です。

  • 開業資金4,000万円以上を自己資金と融資で確保できる見通しがある
  • 首都圏または関西圏で、自分が店舗運営に関わり続けられる
  • 月商が安定して800万円以上を見込める商圏で開業できる(固定費の比重が下がる)
  • 研修修了者2名以上を継続的に確保できる採用計画がある
  • 5年を超える長期運営を前提にしている

向いていないと考えられるのは、次のような場合です。

  • 投資目的で、運営を他者に任せたい
  • 首都圏・関西圏以外で開業したい
  • 小商圏で月商500万円前後を想定している(固定費の比重が上がり、2%という前提が崩れる)
  • 自店の近隣に同ブランドが出店する可能性を許容できない
  • 契約終了後に同業で事業を続けたい(2年間の競業禁止がある)

説明会で確認しておきたいこと

情報開示書面を読んだうえで、書面からは分からないことを面談で確認します。

  1. 中途終了した店舗(3年で33店)の主な理由の内訳。事業承継によるものと、経営難によるものの比率
  2. 検討している商圏における、本部の今後の出店方針(テリトリー制がないため)
  3. 月額固定費の実額。設備の台数と登録人数が決まらないと確定しないため、想定店舗での試算
  4. 研修費用の金額(書面に金額の記載がない)
  5. ロードサイド店舗を検討する場合の開業資金の目安(公式未公表)
  6. 収支試算の前提条件。売上予測システムが使っている変数と、類似店舗の選び方
  7. 既存店の引き継ぎで開業する場合の、引き継ぎ条件と前オーナーの経営状況
  8. 契約更新時に条件が変わる可能性の有無

参考情報

一次情報

制度の根拠

金額はいずれも当編集部が2026年8月13日に確認した時点のものです。条件は改定されることがあるため、実際の加盟にあたっては本部から交付される情報開示書面と契約書で確認してください。

この業界の関連情報

加盟を判断する材料

知りたい数字は、情報開示書面のどこに載っているか

小売業・飲食業のフランチャイズ本部は、中小小売商業振興法の特定連鎖化事業にあたる場合、 加盟の勧誘にあたって法定の情報開示書面を交付し、説明する義務があります。開示すべき項目は23あり、 何店が契約を終えたかも、途中でやめたときの負担も、本部自身の数字としてここに書かれています。 モスバーガーがこの義務の対象であれば、契約する前に交付と説明を受けられます。

知りたいこと 書面の該当項目
続けられるのか。やめた人はどれくらいいるのか 項目6 直近の三事業年度における加盟者の店舗の数の推移 各事業年度末の店舗数、その年に加盟した新規出店数、契約解除された店舗数、契約更新された店舗数と更新されなかった店舗数に分けて示されます。
実際にいくら手元に残るのか 項目7 立地条件が類似する店舗の直近の三事業年度の収支 本部が把握している範囲の収支が、売上高・売上原価・ロイヤルティ・人件費・販売費及び一般管理費などに区分して示され、どういう根拠で「立地条件が類似する」と判断したかも併せて記載されます。2021年4月の施行規則改正で追加され、2022年4月から義務になった項目です。本部が把握していない費目は空欄や「把握していない」と記載されることがあります。
最初にいくら必要か。戻ってくるのか 項目19 加盟に際し徴収する金銭に関する事項 金額と算定方法、加盟金・保証金・備品代といった性質の別、徴収の時期と方法、そして返還の有無と条件まで記載されます。
毎月いくら引かれるのか 項目13 加盟者から定期的に徴収する金銭に関する事項 額そのものだけでなく、算定に用いる売上や費用の根拠を明らかにした算定方法、商号使用料・経営指導料といった性質の別、徴収の時期と方法が示されます。
やめたくなったらやめられるのか 項目23 契約の期間並びに契約の更新及び解除に関する事項 契約期間、更新の条件と手続き、解除の要件と手続きに加えて、契約解除の損害賠償金の額または算定方法が記載されます。
トラブルは起きていないか 項目8 直近の五事業年度における訴訟の件数 本部が加盟者・元加盟者を訴えた件数と、加盟者・元加盟者から訴えられた件数が、それぞれ分けて示されます。
近くに同じ店を出されないか 項目10 加盟者の店舗の周辺で本部が同一・類似の店舗を営業する旨の規定の有無と内容 テリトリー権が認められているか、認められていない場合に近隣の出店計画がどうなっているかを確認する材料になります。

項目の番号は、中小企業庁が公開している資料で23項目を整理したときの通し番号です。 本部が交付する書面では並び順や見出しが違うことがあるため、番号ではなく内容で照らし合わせてください。

説明会で収益のモデルを見せられたときは、その数字が何にもとづくかを確かめてください。 公正取引委員会は、予想売上や予想収益を示すなら根拠ある事実と合理的な算出方法にもとづく必要があるとし、 既存店の平均から作ったモデル収益を示す場合は、それが予想売上ではないと加盟希望者に理解されるよう 対応することを求めています。算定根拠を示せない数字は、判断の土台にしないでください。

出典: 中小企業庁「特定連鎖化事業(フランチャイズ)について」公正取引委員会「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」

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ファストフード・ハンバーガーで加盟先を比べる

当社が情報開示書面や公式資料から確認した条件です。加盟金の額だけでは負担は比べられません。 ロイヤリティが定額か売上連動かで、売上が伸びたときも落ちたときも手元の残り方が変わります。

チェーン初期費用ロイヤリティ
バーガーキング公式非公開(法人限定・説明会と契約書面で開示)公式非公開(法人限定・説明会と契約書面で開示)
ほっともっと現在は公表されていない(本部の加盟店募集が一時休止中のため)現在は公表されていない(同上)
マクドナルド加盟金500万円+店舗購入価格の25%の自己資金(1億円の店舗なら2,500万円以上)固定ロイヤルティー総売上高3%+広告宣伝費4.5%+レントロイヤルティー・インフラサービスフィー(率は契約書記載)

各チェーン名から個別の検証記事に進めます。金額は当社が確認した時点のもので、 実際の条件は交付される情報開示書面で確認してください。

次に決めること

自分で立ち上げるか、フランチャイズに加盟するか

ここまでの内容は、加盟した場合にどうなるかの材料です。ファストフード・ハンバーガーで事業を始めるなら、 その前に決めることがあります。同じ業種でも、自分で立ち上げる場合とフランチャイズに乗る場合で、 かかるお金の出方も、決められる範囲も、やめるときの負担も変わります。

見る観点 フランチャイズ 自分で立ち上げる
立ち上がりの速さ 商品・オペレーション・研修が用意されている分、開店までが早い 商品設計から始めるため時間がかかる
決められる範囲 商品・価格・仕入先・店舗の見た目は本部の基準に従う すべて自分で決められる。決めた分だけ結果も自分に返る
お金の出方 加盟金・保証金が先に出て、その後もロイヤリティが売上から継続的に引かれる 物件・内装・仕入れに先に出るが、継続的に外部へ払うものは少ない
やめるときの負担 契約期間が残っていると違約金が発生することがある 原状回復と在庫の処分が中心になる
向いている場面 未経験の業種に入る、早く立ち上げたい、同じ形で多店舗に広げたい 既存事業とつながりがある、独自の商材がある、利益率を自分で作りたい

どちらが優れているという話ではありません。手持ちの資金、使える時間、その業種の経験、 そして何年で回収したいかによって答えが変わります。

自分で立ち上げたい

物件の商圏調査から、事業計画、開店時の集客までを当社が伴走します。 立ち上げ後の運営そのものを委託いただく形もあります。

立ち上げについて相談する ›

フランチャイズで進めたい PR

資金と希望条件をうかがい、条件に合う本部を整理してお引き合わせします。 当社は本部から加盟店開発の委託を受けることがあり、取次にあたって本部から手数料を受け取る場合があります。

条件に合う本部を紹介してもらう ›

PR|本部への取次にあたり、当社が本部から手数料を受け取る場合があります。

どちらとも決めかねている段階でも構いません。掲載の基準と、当社が本部から報酬を受け取る場合の扱いは このサイトについて に記載しています。