この記事の目次
  1. セブン-イレブンFCの基本情報
  2. セブン-イレブン日本展開の歴史と創業者の遺産
  3. 加盟プランはAタイプとCタイプの2つ
  4. セブン-イレブン・チャージはタイプで計算方法が違う
  5. チャージの減額は3種類ある
  6. 品減りが売上総額の1.2%を超えると、チャージの対象になる
  7. 営業費の負担と、本部が負担する分
  8. 最低保証はオーナー総収入の保証で、利益の保証ではない
  9. 24時間営業が原則。テリトリー権はない
  10. やめるときにかかる金銭
  11. 加盟者契約の開始・終了・更新の実数と、訴訟件数
  12. オーナーの収入をどう見るか
  13. 判例と行政処分(開示書面ではなく、裁判例・公取委資料・報道にもとづく整理)
  14. コンビニ大手3社の加盟条件比較
  15. 加盟者の声: ポジティブ面
  16. 加盟者の声: ネガティブ面
  17. ビジネスモデルナビ編集部の考察
  18. 加盟を検討する前に確認すべきこと
  19. セブン-イレブンと他のFCの位置づけ
  20. 参考情報
  21. 加盟検討者の方へ
  22. この業界の独自視点(LMP編集部)
  23. この業界の関連情報
FAQ

よくある質問

セブン-イレブンのFCの加盟金はいくらですか?AタイプとCタイプの違いは?

セブン-イレブン公式によると、加盟資金(成約預託金)はAタイプで315万円(研修費55万円+開業準備手数料110万円+開業時出資金150万円)、Cタイプで260万円(研修費55万円+開業準備手数料55万円+開業時出資金150万円)です。Aタイプは加盟店オーナーが土地・建物を自前で用意するモデル、Cタイプは本部が土地・建物を用意するモデルで、低資金で開業できる代わりにロイヤリティの累進制が適用されます。契約期間は両タイプとも15年です。

セブン-イレブンのロイヤリティ(チャージ)はどう計算されますか?

セブン-イレブンではロイヤリティを「セブン-イレブン・チャージ」と呼び、売上総利益(粗利)に対する歩合制で計算します。Aタイプは売上総利益の45%(24時間営業は43%)の固定率です。Cタイプは粗利規模に応じた累進制で、月の売上総利益250万円以下の部分が56%、250万円超〜400万円が66%、400万円超〜550万円が71%、550万円超が76%です。ここから24時間営業の2%控除、特別減額1%、開店5年経過後のインセンティブ・チャージ最大3%などが引かれます。ただし売上総利益が月5,500千円以下の店舗では、定額の減額に24時間営業分と特別減額分が含まれる旨の注記があるため、単純に足し合わせることはできません。開示書面によると、チャージの計算に使う売上総利益は「売上高-純売上原価」で求め、純売上原価は総売上原価から棚卸増減原価・不良品原価・仕入値引高を差し引いたものです。廃棄ロスにあたる不良品原価は純売上原価に含まれないため、書面は「純売上原価および売上総利益は棚卸増減原価および不良品原価の多寡に影響されません」と説明しています。この計算方式をめぐる争いが2007年の最高裁判決(ロスチャージ裁判)で、結論は本部勝訴でした。

セブン-イレブンのオーナーの平均年収はどれくらいですか?

オーナーの年収は情報開示書面から確認できません。書面は売上・収益予測について具体的な数字を提示せず、店舗候補地の環境・顧客の動向・競争関係などを調査した結果を情報として提供する、と述べています。書面から言えるのは最低保証の水準までで、Aタイプが24時間営業で年間2,200万円・それ以外1,900万円、Cタイプが2,000万円・1,700万円です。ただし書面は「最低保証額は、オーナー総収入の最低額を保証するもので、オーナー利益を保証するものではありません」と明記しています。ここから人件費・水道光熱費の20%・廃棄ロス・品減りなどの営業費を引いた残りが利益です。FC比較サイトが掲載する平均年収の数字は算定の対象や前提が示されていないことが多く、当編集部では採用していません。

セブン-イレブンのFCで知っておくべき訴訟・公取委の動きは何ですか?

重要な事案は4つあります。1つ目は2007年最高裁のロスチャージ裁判で、廃棄ロスへのロイヤリティ課金を契約上の合意があったとして本部勝訴。2つ目は2009年の公取委による排除措置命令で、加盟店の見切り販売を本部が制限したことを独占禁止法違反としました。3つ目は2023年確定の東大阪セブン-イレブン時短訴訟で、24時間営業を一方的に時短化したオーナーが約1,450万円の違約金支払いと店舗明渡しを命じられました。4つ目は2023年確定のコンビニ加盟店ユニオン労働者性訴訟で、最高裁が加盟店オーナーは労働組合法上の労働者ではないと確定させました。加盟検討時にはこれらの構造的課題を必ず理解しておく必要があります。

セブン-イレブンの24時間営業は本当に強制ですか?

契約書上は24時間365日営業が原則とされており、加盟店が本部の書面合意なしに時短化することは契約違反となります。2019年に東大阪のオーナーが書面合意なしに時短化した結果、契約解除・違約金請求という事態に発展し、2023年に裁判で本部勝訴が確定しました。一方、社会的批判や公取委の改善要請(2020年9月)を受けて、本部側は他店舗の時短化を順次認める方針に転換しています。2024年現在、深夜時短店は徐々に拡大していますが、これはあくまで本部の個別承認に基づくもので、加盟店が自由に時短化できるわけではない点を理解しておく必要があります。

Chain Profile

チェーン基本情報

チェーン名セブン-イレブン
業種コンビニエンスストア
初期費用Aタイプ315万円(研修費55万+開業準備手数料110万+開業時出資金150万)/Cタイプ260万円(研修費55万+開業準備手数料55万+開業時出資金150万)。いずれも税込・契約締結日に成約預託金として預託/情報開示書面
ロイヤリティセブン-イレブン・チャージ=月間売上総利益×率。Aタイプは定率で24時間営業43%/それ以外45%。Cタイプは累進で56%/66%/71%/76%(24時間営業なら売上総利益の2%控除)。別途 特別減額1%・インセンティブチャージ最大3%ほか/情報開示書面

国内21,590店、世界85,816店という最大級のフランチャイズチェーン、セブン-イレブン。FC比率は98%以上です。

一方で、2007年最高裁のロスチャージ裁判、2009年の公取委による排除措置命令、2020年の24時間営業強制への独禁法違反指摘、2023年に確定した東大阪オーナー時短訴訟、同じく2023年確定のコンビニ加盟店ユニオン労働者性訴訟など、日本のFC史上で最も判例が集積した本部でもあります。

ビジネスモデルナビ編集部がセブン-イレブン公式・セブン&アイHD IR資料・公正取引委員会公式リリース・厚生労働省中央労働委員会・日経新聞・東洋経済・関西テレビ・弁護士ドットコムニュース・コンビニ加盟店ユニオンの公開資料を横断調査し、加盟検討前に必ず把握しておきたい構造的課題まで含めて整理します。

セブン-イレブンFCの基本情報

セブン-イレブン・ジャパンは1973年創業、セブン&アイ・ホールディングス傘下の国内コンビニ最大手。

公式・セブン&アイHD IR資料によると、最新の規模を整理します。

項目
国内店舗数21,590店(2025年8月時点)
世界店舗数85,816店(2025年2月期)
国内チェーン全店売上高5兆3,697億円
2026年度国内業績予想全店売上5兆4,980億円(+2.9%)・営業利益2,600億円
FC比率98%以上(直営店は限定的)

スケール・売上シェア・ブランド力で日本最大のFCであり、これがセブン-イレブン加盟の強みの源泉になっている。

公式発表ベースでは、国内店舗数は2026年4月末で21,735店(セブン-イレブン公式「データで見るセブン-イレブン」より)まで微増しています。日本のコンビニ業界全体の売上高は12兆円超と、スーパー業界に並ぶ規模に達しました。加盟検討時は最新の月次データを公式IRで確認しておくと判断ぶれを防げます。

セブン-イレブン日本展開の歴史と創業者の遺産

加盟を検討するうえで、セブン-イレブン・ジャパンが「どんな思想で50年間運営されてきたチェーンか」を把握しておくと、加盟後に直面する本部方針の意味を読み取りやすくなります。日本展開を主導した鈴木敏文元会長は2026年5月18日(月)に心不全のため自宅で逝去し、5月25日(月)にセブン&アイ・ホールディングスが公式発表しました。93歳でした。

日本1号店オープンまでの経緯

項目内容
1号店オープン日1974年5月15日(水)午前7時
1号店所在地東京都江東区豊洲4-6-1(現所在地、当時は2階建て25坪、現在は5階建てビル1階で同住所営業)
1号店の前身「山本茂商店」という地元の酒屋を改装。初代オーナー=山本氏が日本のFC加盟店第1号
提携先米国サウスランド社(当時セブン-イレブンを全米4,000店展開していた本部)

セブン-イレブン日本進出は1974年でしたが、社内では「あんな小さな店が日本で成り立つはずがない」という反対の声が強かったと、鈴木氏自身が後年のインタビューで振り返っています。海外セミナーに同行した際にコンビニエンスストアを米国で目にし、調査の上で導入を進めたと公表されています。

鈴木敏文氏の経歴(時事通信・Bloomberg・ITmedia等の訃報報道に基づく)

出来事
1932年12月1日長野県生まれ
1956年中央大学経済学部卒業、東京出版販売(現トーハン)入社
1963年イトーヨーカ堂入社
1973年ヨークセブン(現セブン-イレブン・ジャパン)設立に携わる
1978年セブン-イレブン・ジャパン社長就任
2003年頃公開発言で「美味しいものほど飽きるから新しい商品を出し続けないと」「安いものでは振り向かないお客様」など、変化対応を強調
2016年セブン-イレブン・ジャパン社長人事案が取締役会で否決され、責任を取って辞任。経営第一線から退任
2026年5月18日(月)心不全のため東京都内の自宅で逝去、93歳
2026年5月25日(月)セブン&アイ・ホールディングスが公式発表

加盟検討者が押さえておくべき経営思想

鈴木氏が一貫して語ってきた経営思想は、加盟店オーナーから見ると本部の判断軸を読み解くヒントになります。

  • 変化対応: 商品・サービス・営業時間など「世の中の変化に追随しないと衰退する」という前提でチェーン運営を続けてきました。1975年の24時間営業、1987年の公共料金収納代行、1990年代のおでん・中華まん・淹れたてコーヒー、2001年のセブン銀行設立は、いずれも「コンビニを小規模物販店から生活インフラへ役割転換させる」一連の判断として位置づけられます。
  • 飽きさせない商品開発: フィルム海苔のおにぎりが代表例です。家庭の直巻きおにぎりではなくフィルムで海苔を分離した「自分でパリパリを巻く」設計を1970年代後半に商品化し、おにぎりを「買って食べるもの」へ変えました。加盟店としては、本部からの新商品投入頻度が高いことを「商品入替の負担」とも「集客装置の更新」とも捉えられます。
  • 物まねしない原則: 「他チェーンの真似は本物以上にはなれない」として、独自の商品・業態開発を社是としてきました。加盟店側で言うと、本部主導の独自カテゴリ開発に協調するスタンスが求められます。

加盟検討に対する含意

歴史的に見ると、セブン-イレブン日本のチェーン運営は「本部が主導する商品・業態の変化に、加盟店が高速で追随する」設計です。これが日本最大規模の競争力を生んだ一方、2007年最高裁のロスチャージ裁判、2009年の公取委排除措置命令、2023年確定の東大阪時短訴訟など、加盟店の自由度をめぐる構造的論点も同時に積み上がっています。詳細は本記事の「重要事案」セクションをご確認ください。

公開された創業者の経営思想と、判例・行政判断で示された本部加盟店間の論点を両方踏まえて、加盟可否を判断することをおすすめします。

加盟プランはAタイプとCタイプの2つ

セブン-イレブンの加盟契約は2種類あります。開示書面はCタイプについて「店舗の土地建物ならびに住居(待機施設)を当社が用意することが特徴です」と説明しています。Aタイプはこれに対する契約タイプで、加盟時の金銭も条件も別の書面で開示されています。株式会社セブン-イレブン・ジャパンは、日本フランチャイズチェーン協会のサイトで情報開示書面を契約タイプごとに2種類公開しています(いずれも2026年8月20日作成・各46ページ)。以下の金額と条件は、この2つの書面で確認したものです。

加盟時に支払う金銭

項目AタイプCタイプ性質
研修費用50万円+消費税5万円同左加盟者(履行補助者と2名)が研修に参加して受講・実務研修をするための費用
開業準備手数料100万円+消費税10万円50万円+消費税5万円店舗計画から商品陳列まで、開店がただちにできる状態にするために本部が担当実施する開店準備の諸作業に関する手数料
開業時出資金150万円150万円開業当初の在庫商品代、つり銭用準備現金、什器・備品・消耗品の代金および加盟保証金50万円をまかなうため、加盟者が自己資本として自ら調達する最低限度の金額
総額315万円(税込)260万円(税込)

契約締結の日に、この総額を成約預託金として本部に預託します。既存店の引継ぎの場合も開業準備手数料はかかります。

Cタイプが55万円安いのは、開業準備手数料が半額だからです。研修費と開業時出資金は同額です。

契約期間は15年

両タイプとも、新規開店の初日から向こう15ヶ年間です。更新は期間満了に際して協議し、合意に基づいて行われます。

ただしCタイプには注記があります。

但し、当社の用意する店舗が定期賃貸借契約による物件である場合は更新を前提といたしません。

本部が用意した物件の賃貸借契約の形態によって、更新の前提が変わる構造です。

セブン-イレブン・チャージはタイプで計算方法が違う

ロイヤリティにあたるのがセブン-イレブン・チャージです。各会計期間(月間)ごとの売上総利益に率を乗じて計算します。売上総利益は、売上高から売上商品原価(=純売上原価)を差し引いて算定されます。

Aタイプは定率

営業時間チャージ率
24時間営業店舗月間売上総利益の43%
上記以外の営業時間の店舗月間売上総利益の45%

24時間営業のほうが2ポイント低い設計です。

Cタイプは累進

1ヶ月の売上総利益に対してオーナー総収入セブン-イレブン・チャージ
0円〜250万円以下の部分44%56%
250万円を超え〜400万円以下の部分34%66%
400万円を超え〜550万円以下の部分29%71%
550万円を超える部分24%76%

帯が上がるほどチャージ率も上がります。粗利が増えるほど本部の取り分の割合が大きくなる形です。

Cタイプには、この表に対する控除が2つあります。24時間営業の場合は上記の金額から売上総利益の2%に相当する額を控除します。営業施設が本部の定める店舗分離型住居に該当する場合は、地域別適用金額(A地区16万円・B地区13万円・C地区9万円/月)を控除します。地域別適用金は住居の住所ではなく店舗の住所で決まります。

累進の計算例

月の売上総利益が500万円のCタイプ店で、累進表を当てはめると次のようになります(当編集部の計算です)。

計算チャージ
0〜250万円250万円×56%140万円
250万円超〜400万円150万円×66%99万円
400万円超〜500万円100万円×71%71万円
小計310万円

売上総利益500万円に対して310万円なので、この段階での率は62%です。ここから後述の減額が引かれます。

ただし単純に足し引きすると二重に控除してしまいます。売上総利益500万円(=5,000千円)は次節の表の「5,500千円以下の店舗」に当たり、24時間営業店の月額−200千円には〔−24時間営業−2%相当額/特別減額−1%相当額〕という注記が付いています。つまりこの定額減額に2%控除と特別減額1%が含まれているため、別途重ねて引くことはできません。

チャージの減額は3種類ある

開示書面には、両タイプ共通で3つの減額が定められています。

  1. 特別減額。算出された金額から、さらに売上総利益の1%に相当する金額を減額します。

  2. 売上総利益の水準による減額

売上総利益/月5,500千円超の店舗5,500千円以下の店舗
24時間営業店月額 −35千円月額 −200千円〔−24時間営業 −2%相当額/特別減額 −1%相当額〕
非24時間営業店月額 −15千円月額 −70千円〔特別減額 −1%相当額〕

書面には「上記金額は、各会計期間毎に実営業日数の日割計算を行うものとします」と注記があります。5,500千円以下の欄の〔 〕内は、その定額減額に24時間営業分と特別減額分が含まれることを示す注記です。

  1. インセンティブ・チャージ。開店後、満5年経過した開店月の翌月から最大3%(条件1+条件2)チャージを減額します。
条件減額
条件1平均日販30万円以上売上総利益額の −1%
条件2年間売上総利益額 5,000万円以上〜7,000万円未満売上総利益額の −1%
条件2年間売上総利益額 7,000万円以上売上総利益額の −2%

日販と年間の粗利という2つの条件を両方満たして、はじめて3%になります

品減りが売上総額の1.2%を超えると、チャージの対象になる

開示書面の「契約違反をした場合の違約金・その他の義務に関する事項等」に、こう書かれています。

品減り(棚卸減)が前回から今回の実地棚卸期間の売上総額の1.2%を超えた部分は、売り上げたものと見なしチャージの対象になります。

万引きや棚卸の差異で商品が失われた場合、1.2%を超えた分は「売り上げたものと見なし」チャージの対象になります

これは棚卸減に関する個別のルールで、後述するロスチャージ裁判で争われた論点とは別のものです。裁判で争われたのは、廃棄ロス等を純売上原価に含めないチャージ計算方式について、本部が加盟者に十分説明し合意を得ていたかという点でした。

実地棚卸は本部または本部の指定業者が本部の費用負担で行いますが、加盟者からの依頼または異常な在庫品の増減があった場合は、加盟者が11万円(消費税額等1万円を含む)を負担して行います。

営業費の負担と、本部が負担する分

開示書面の「営業費等の負担と一括契約について」に定めがあります。

開業中の商品仕入等の投資のほか、人件費・不良品・品減り等の店舗経営に係るすべての営業費は加盟者の負担となります。(但し、当社にて不良品原価の15%と電気・水道料金の80%を負担します。)

営業費のうち本部が負担するのは、不良品原価の15%と電気・水道料金の80%です。残りは加盟者の負担になります。書面は「営業費の中でも、大きく割合を占める人件費は、最低賃金制度に基づき年々上昇しております」とも書いています。

保険料は営業費とは別の項目で、分担の仕方が違います。加盟者は新総合賠償責任保険(店舗内外の設備の不備や管理ミスに基づく来店者の人身事故、衣類等の破損、店舗で販売した商品に基づく人身事故損害、宅配物等受託物の破損)の加入と保険料を負担し、Aタイプではこれに建物・店頭看板等の損害保険も加わります。本部は貸与設備・店舗の商品の火災保険・現金盗難の損害保険料を負担し、Cタイプではこれに建物・店頭看板の損害保険も含まれます。労働保険(労災・雇用)と社会保険(健康保険・厚生年金)の保険料は加盟者負担です。

一括契約として、コンピュータ保守料(年間11,000円・消費税額等1,000円を含む)などは本部が加盟者に代わって契約する方式です。

最低保証はオーナー総収入の保証で、利益の保証ではない

契約に従って営業を毎日継続する限り、12会計期間(開店月起算)を通じて、加盟者の総収入が下記の金額に達しないと予想される場合に、これを下回らないよう月単位で計算されます。

Aタイプ 24HAタイプ 24H以外Cタイプ 24HCタイプ 24H以外
年間2,200万円1,900万円2,000万円1,700万円
日額60,300円52,100円54,800円46,600円
30日の月1,809,000円1,563,000円1,644,000円1,398,000円
31日の月1,869,300円1,615,000円1,698,800円1,444,600円

書面には、この表に続けて明確な注記があります。

※最低保証額は、オーナー総収入の最低額を保証するもので、オーナー利益を保証するものではありません。また、最低保証額は、実営業日数に応じて適用されます。

保証されるのはオーナー総収入です。そこから人件費・水道光熱費の20%・廃棄ロス・品減りなどの営業費を引いた残りがオーナー利益になります。最低保証に届いていても、営業費が上回れば利益は出ません。

このほか、本部が必要と考える場合には売上不振店に対する特別措置(本部が加盟者の費用を一部負担する等)が実施されるとされています。

24時間営業が原則。テリトリー権はない

営業時間について、書面はこう定めています。

加盟店基本契約期間中、年中無休で原則として毎日24時間開店し、営業します。 加盟者が深夜休業を申し出られた場合は、具体的な内容を当社と協議・合意した上で進めていくものになります。

テリトリー権については、より明確です。

営業の許諾は、加盟者に地域の独占権や固有の地盤の営業権を認めるものではありません。 当社は、加盟者の店舗のある同一市区町村内のどこでも別の店舗を出すことができます。 然し、当社は、加盟者の営業努力が十分報いられるよう配慮します。

同一市区町村内のどこでも別の店舗を出せる、と書面が明示しています。

競業禁止義務もあります。両タイプとも契約期間中は競業他者の経営に関与したり業務提携やフランチャイズ関係を結ぶことができません。加えてAタイプには「契約終了後、少なくとも1年間は、コンビニエンスストアの営業はご遠慮いただくこととなります」という一文があります。Cタイプの同じ項にはこの記載がありません。守秘義務は両タイプとも契約期間中および契約終了後で、SNS等への投稿も対象に含まれます。

やめるときにかかる金銭

開業前の解約

やむを得ない事由がある場合、解約金を支払うことで加盟者は解約できます。少なくとも開業日の5日前までの予告が必要です。金額はタイプで違います。

Aタイプは工事の進み具合で3段階です。

段階解約金
店舗建物の建築ないし改修工事に着手する迄50万円
建築・工事着手後、本部に引渡される迄100万円
本部引渡後、設備商品の搬入作業着手後150万円

Aタイプで引渡後に設備商品の搬入および備え付けが済んでいる場合は、上記に加えて設備の取外し料金と運送料金も負担します。

Cタイプは段階の区分がなく、解約金50万円です。予告の日から3日以内に支払い、手引書等はただちに返還します。

研修で本部から不合格とされた場合は、研修費55万円(消費税額等5万円を含む)のうち27万5千円(同2万5千円を含む)が返還されます。研修の全課程を修了しなかった場合や参加しなかった場合は、研修費は一切返還されません。

開業後の中途解約

過去12ヶ月のセブン-イレブン・チャージの平均月額を基準に計算します。

開業後5年やむを得ない事情文書による予告AタイプCタイプ
経過有る3ヶ月以上前なしなし
経過無し(加盟者のみ該当)4ヶ月以上前2ヶ月分2ヶ月分の60%
未経過有る(相手方の文書による承認が必要)3ヶ月以上前2ヶ月分2ヶ月分の60%
未経過無し(加盟者のみ該当)4ヶ月以上前5ヶ月分5ヶ月分の60%

開業から5年未満で、やむを得ない事情もない場合がもっとも重くなります。Cタイプはいずれの区分もAタイプの60%の水準です。

契約終了・閉店の際、Aタイプは原状回復をしない場合に本部指定の工事業者が設備の取り外し・建物模様替え・修理・清掃・運搬等を行い、その費用は加盟者の負担になります。Cタイプは店舗設備・住居などを返還し、修理の必要なものは修理のうえ本部の確認を求めることとされ、契約終了後に本部または本部の指定するフランチャイジーが営業を継続する場合は営業継続に協力する義務を負います。どちらのタイプも閉店手数料11万円(消費税額等1万円を含む)を支払います。

契約違反による解除の損害賠償

契約違反による解除の結果、相手方が損害を受けたときは賠償します。算定方法がタイプで違います。

Aタイプは次の①と②の合計です。

  1. 加盟店の過去12ヶ月の実績に基づく6ヶ月分の売上総利益 × 50%
  2. 加盟店の過去12ヶ月の実績に基づく1ヶ月平均売上高 × 契約残存期間の10分の1の月数 × 2%

Cタイプは①のみで、②の契約残存期間に応じた部分がありません。

手引書資料を他人に譲渡・占有させたとき、経営機密を第三者に漏らしたとき、競業他者とフランチャイズ契約を結んだとき等は、Aタイプは①②に、Cタイプは①に追加して少なくとも200万円を支払うことになります。 このほか、日々の義務違反にも金額が定められています。売上金の送金を怠り本部が金銭出納管理に当たったときは1日11,000円(消費税額等1,000円を含む)、資料報告書の提出を怠った場合は1日1,500円(非課税)、契約終了後の手続を遅滞したときは1日20,000円(不課税)です。

加盟者契約の開始・終了・更新の実数と、訴訟件数

開示書面には、本部が公表を義務づけられている実数が載っています。いずれも加盟者の契約に関する集計で、チェーン全体の総店舗数の増減や閉店数そのものではありません。

年度新規に営業を開始した加盟者の店舗数契約を中途で終了した加盟者の店舗数当社から契約を解除した加盟者の店舗数
令和5年度3672881
令和6年度4323250
令和7年度4043970

契約期間が15年なので、更新の集計は15年・30年・45年の3区分で公表されています。

年度15年更新(更新率)30年更新(更新率)45年更新(更新率)更新なし 15年/30年/45年
令和5年度544(94.1%)247(96.9%)72(97.3%)33/12/2
令和6年度580(95.1%)229(94.6%)90(98.9%)27/13/1
令和7年度615(95.1%)290(95.1%)62(96.9%)33/16/2

45年更新が毎年60〜90件あります。15年契約を3回続けた店舗がそれだけあるということです。更新率はいずれの区分でも94%以上で推移しています。

訴訟件数は5事業年度分です。

年度加盟者または加盟者であった者から提起された訴え当社より提起した訴え
令和3年度00
令和4年度10
令和5年度00
令和6年度00
令和7年度00

5年間で加盟者側からの提訴が1件、本部からの提訴は0件です。後述する著名な訴訟はいずれもこの5年より前のものになります。

オーナーの収入をどう見るか

開示書面は、売上・収益予測について具体的な数字は提示しないとしたうえで、店舗候補地の環境・顧客の動向・競争関係などを調査した結果を情報として提供する、と述べています。

したがって「オーナーの年収」を書面から導くことはできません。書面から言えるのは次の3点です。

  • 最低保証はオーナー総収入の下限であって、利益の保証ではない(Aタイプ24時間営業で年2,200万円)
  • そこから人件費・水道光熱費の20%・不良品原価の85%・品減りなどの営業費を引いた残りが利益になる
  • 営業費のうち本部が負担するのは不良品原価の15%と電気・水道料金の80%(保険料は別の項目で分担が定められている)

FC比較サイトなどで見かける「オーナー平均年収」の数字は、こうした前提を共有していないことが多く、また夫婦・家族の合算であることもあります。本部の説明会で提示される損益モデルの前提(想定日販・想定廃棄率・想定人件費)を確かめるのが、いちばん確実です。

判例と行政処分(開示書面ではなく、裁判例・公取委資料・報道にもとづく整理)

以下の4件は情報開示書面の記載ではありません。裁判例・公正取引委員会の公表資料・報道をもとに当編集部が整理したものです。出所は記事末尾の参考情報にまとめています。

重要事案1: ロスチャージ裁判(2007年最高裁判決)

セブン-イレブンFCを語るうえで避けて通れないのが、コンビニ会計(ロスチャージ)の問題です。

コンビニ会計の特殊性

通常の企業会計では、廃棄ロス(販売期限切れ・汚破損で売れなくなった商品)と棚卸ロス(帳簿在庫と実在庫の差)を売上原価に算入し、その分だけ粗利が圧縮されます。

開示書面が説明するセブン-イレブンの方式は違います。総売上原価(月初商品棚卸高+当月商品仕入高−月末商品棚卸高)には棚卸増減原価・不良品原価・仕入値引高が含まれますが、チャージの計算に使う純売上原価は、そこからこの3つを差し引いたものです。したがって売上総利益(売上高−純売上原価)は、廃棄ロスや棚卸ロスが増えても減っても影響を受けません。書面自身が次のように書いています。

棚卸増減原価および不良品原価が増加(減少)すれば、その分月末商品棚卸高が減少(増加)する為、これら3つの項目の総数は変わりません。よって、純売上原価および売上総利益は棚卸増減原価および不良品原価の多寡に影響されません。

本部側の説明としては、棚卸増減原価と不良品原価を加盟者の営業費とすることで加盟者と本部の独立性を保ち、荒利分配の公平性を維持する、という位置づけです。加盟者から見ると、廃棄しても売上総利益は下がらないためチャージは軽くならず、廃棄の原価は営業費として自分の側に残る、という構造になります。

この差は「廃棄ロスの原価分にも本部チャージがかかる」という結果を生む。加盟店から見ると、売れ残った商品の原価を全額負担した上で、その原価分にもロイヤリティを支払う構造になる。

訴訟の経緯

  • 2002年: 宮城県のセブン-イレブン加盟店オーナー鈴木勝氏ほか5名が、廃棄ロスへのロイヤリティ課金が不当だとして提訴
  • 2005年: 東京地裁・東京高裁ともに加盟店側が勝訴
  • 2007年6月11日: 最高裁第二小法廷判決 → 本部の逆転勝訴

最高裁判決のポイント

最高裁は「契約書の文理解釈上、売上商品原価は実際に売れた商品の原価のみを指し、廃棄ロス・棚卸ロスを含まない」と認定した。ただし、契約書の付属明細書と契約締結前の本部からの説明で、廃棄ロス・棚卸ロスもチャージ計算ベースに含める旨が加盟店に伝わっていたとして、本部の請求を適法と判断した。

この判決は「コンビニ会計が一般会計と異なる」ことを最高裁が認めた点で歴史的だが、結論としては「契約書で合意していれば適法」という形に着地した。情報非対称性の問題は構造的に残ったままです。

愛知大学経営総合科学研究所の論文(木村義和氏)では「毎年1店舗あたり468万円分の食品が廃棄されている」と推計されており、廃棄ロスの本部チャージ問題は社会的にも繰り返し議論されている。

重要事案2: 東大阪セブン-イレブン時短訴訟(2023年確定)

24時間営業をめぐる代表的な訴訟事例。

経緯

  • 2019年2月: 東大阪市のセブン-イレブン東大阪南上小阪店オーナー・松本実敏氏が、人手不足を理由に書面合意なしで24時間営業から時短営業へ切替え
  • 本部はいったん契約解除を通告したが、社会的批判の高まりで撤回
  • 2019年12月30日: 接客対応・SNS投稿を理由に契約解除を強行
  • 2020年1月: セブン本部が松本氏に店舗明渡しを求めて提訴
  • 2022年6月23日: 大阪地裁判決 → 本部勝訴
  • 2023年4月27日: 大阪高裁判決 → 本部勝訴を支持。松本氏に約1,450万円の違約金支払い・店舗明渡しを命じる

判決のポイント

裁判所は「24時間営業は契約書上の原則であり、加盟店が一方的に時短化することは契約違反」と判断した。本部の契約解除には正当な理由があるとして、加盟店オーナー側の請求を全面的に退けた。

加盟検討者にとっての意味

  • 24時間営業義務は法的に強い拘束力を持つ
  • 一方的な時短化は契約違反となり、違約金・明渡しのリスクがある
  • ただし社会的批判を受けて、本部側は他店舗の時短化を順次承認する方針に転換(東洋経済「本部の態度が一変した」)
  • 2024年現在、深夜時短店は徐々に拡大しているが、あくまで本部の個別承認ベース

重要事案3: 公取委の独占禁止法違反命令と改善要請

公正取引委員会はセブン-イレブン本部に対し、過去2回の重要な処分・要請を行っている。

2009年: 排除措置命令

  • 2009年6月22日: 公取委がセブン-イレブン・ジャパンに対し、独占禁止法第19条違反(不公正な取引方法・優越的地位の濫用)として排除措置命令
  • 違反内容: 加盟店が見切り販売(値下げ)を行おうとした際、本部が見切り販売の取りやめを余儀なくさせた
  • 廃棄商品の原価相当額が全額加盟店負担となる仕組みの下で、加盟店の経営判断で値下げ・廃棄ロス削減を行う機会を奪ったことが問題視された

2020年: コンビニ8社への改善要請

  • 2020年9月2日: 公取委が「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査」結果を公表
  • 24時間営業の強制、仕入数量の強制、廃棄ロス負担の不透明性などが独禁法上問題となり得ると指摘
  • セブン-イレブンを含む大手8社に自主的点検と改善内容の公表を要請(2020年11月末期限)
  • 経済産業省も並行して各社の「行動計画」のフォローアップを実施

これを受けて公取委はフランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の指針(フランチャイズ・ガイドライン)を改正し、本部による加盟店への優越的地位の濫用に該当しうる行為類型を明確化した。

重要事案4: コンビニ加盟店ユニオンと労働者性訴訟(2023年確定)

加盟店オーナーの労働者性をめぐる訴訟も、最高裁まで争われた重要事案です。

経緯

  • 2009年: コンビニ加盟店ユニオン(岡山市拠点)がセブン-イレブン本部に待遇改善を求めて団体交渉を要求 → 本部は「店主は独立事業主」として拒否
  • 2014年3月: 岡山県労働委員会が「FC店主は労働組合法上の労働者」と認定し、本部に団交応諾命令
  • 2019年3月: 中央労働委員会が岡山県労委の判断を覆し、店主の労働者性を否定
  • 2022年6月: 東京地裁が中労委の判断を是認、店主側の請求棄却
  • 2023年7月: 最高裁が店主側の上告を不受理 → 店主敗訴確定

判決の核心

東京地裁判決は「商品の仕入れ、従業員の採用、立地といった店舗経営の基本方針や重要事項の決定はFC店主が自ら事業者として行う」と指摘し、「本部と対等に団交できるよう労組法で保護すべき労働者にはあたらない」と結論づけた。

加盟検討者にとっての意味

  • セブン-イレブン加盟店オーナーは「労働者」ではなく「独立事業主」と法的に確定
  • 労働基準法・労働組合法の保護を受けない(最低賃金・労働時間規制・団交権なし)
  • 本部との交渉力格差は構造的に残るため、契約段階での精査が極めて重要

コンビニ大手3社の加盟条件比較

ソース: フランチャイズ比較ネット、各社公式

情報開示書面で条件を確認できたのは、セブン-イレブンとローソンの2社です。

項目セブン-イレブンローソン
契約タイプAタイプ(加盟者が土地建物)/Cタイプ(本部が用意)FC-Bn(加盟者が店舗)/FC-Cn(本部が用意)
加盟金A 315万円/C 260万円(税込)Bn 110万円/Cn 210万円(税込)
別途必要な資金開店に伴う準備金100万円程度
ロイヤリティA 定率43%(24時間営業)/45%。C 累進56/66/71/76%累進。24時間営業でBn 41/36/31/21%、Cn 45/70/60%。24時間未満は各率+3%
契約期間15年10年
更新期間満了に際して協議・合意満了で終了。6ヶ月前までに合意すれば再契約
最低保証A 2,200万円/1,900万円、C 2,000万円/1,700万円(24H/24H以外)Bn 1,980万円/1,680万円、Cn 1,860万円/1,560万円(同)
出所情報開示書面(2026年8月20日作成)情報開示書面(発行日2026年6月)

ファミリーマートは情報開示書面が公開されておらず、当編集部で条件を突合できていないため、この表には含めていません。

契約期間はセブン-イレブンが15年、ローソンが10年です。ロイヤリティは、セブン-イレブンのAタイプだけが定率で、それ以外はすべて累進です。累進の動く向きも一様ではなく、ローソンのFC-Bnは帯が上がるほど下がり、セブン-イレブンのCタイプとローソンのFC-Cnは上がります。

最低保証は、セブン-イレブンがオーナー総収入、ローソンがフランチャイジー収入と呼び名が違いますが、どちらも営業費を引く前の金額で、利益の保証ではありません。

加盟者の声: ポジティブ面

公式・経験者ブログ・FC比較メディアから収集したポジティブな声を紹介します。

  • 業界1位の集客力で売上が安定しやすい
  • 水道光熱費80%本部負担という他コンビニにはないサポート
  • 営業費を引く前のオーナー総収入について最低保証制度がある(利益・手取りの保証ではない)
  • 商品開発力・物流網が強く、PB商品で集客できる
  • システム・ノウハウが完成度高く、未経験者でも運営可能
  • 地方部の出店で地域の独占的ポジションを取れる
  • 最低保証の水準(Aタイプ24時間営業で年間2,200万円のオーナー総収入)はコンビニ大手のなかで高い

「ノウハウとブランド力を借りる代わりに、本部に高ロイヤリティを払う」という割り切りができる経営者には合うモデルです。

加盟者の声: ネガティブ面

ソース: hikari7blog.com(元本部社員ブログ)、conveni-now.com、bengo4.com、関西テレビ、コンビニ加盟店ユニオン公式

  • ロイヤリティが売上総利益の最高76%(Cタイプ累進制)。粗利が伸びるほど本部取り分の割合が増える
  • 廃棄ロス・棚卸ロスが加盟店負担で、コンビニ会計でロイヤリティ計算ベースに含まれる
  • 24時間営業が契約原則で、人手不足・家族介護等での時短化に違約金リスク
  • ドミナント出店(既存店の近隣に新店を出す戦略)で売上を奪われる事例多数
  • 契約期間15年・違約金条項により「辞めたくても辞められない」事例
  • 夫婦・家族での長時間労働が前提、時給換算では最低賃金を下回るという指摘
  • 公取委・国会審議で繰り返し問題視されてきた業界の構造的課題
  • 24時間営業を中止した東大阪オーナーは違約金1,450万円を命じられ全面敗訴

「セブン-イレブン元オーナーはなぜ闘ったのか」(旬報社)など、加盟店オーナーの実態を扱った書籍も出版されており、社会問題として認知されている。

ビジネスモデルナビ編集部の考察

セブン-イレブンのFCは、日本のフランチャイズシステムを象徴する「最大手の集客力 × 最も拘束力の強い契約条件」という典型例です。

最大の論点は「コンビニ会計(ロスチャージ)の構造的問題」と「24時間営業義務の法的拘束力」の2つに集約される。前者は2007年の最高裁判決で「契約上の合意」として決着しているが、加盟店オーナーが契約前に十分理解できているかという情報非対称性の問題は構造的に残る。後者は2023年の東大阪訴訟で「契約違反は違約金1,450万円」という現実的なリスクとして可視化された。

加盟検討者にとって重要なのは、これらの構造を「不公平だから加盟しない」と即断するのではなく、「構造を理解した上で、自分の経営資源・家族体制・資金体力で対応可能か」を冷静に判断することです。FC比較サイトが掲載する平均年収の数字は、算定の対象(オーナー個人か家族合算か)や前提が示されていないことが多く、そのまま自分の見込みにはできません。

業界HUB転用の観点では、セブン-イレブンは「FC契約の歴史的判例集積モデル」として位置づけられる。ロスチャージ・優越的地位の濫用・労働者性・24時間営業強制という4つの主要論点は、すべての業種FCの設計・評価における参照基準になる。FC本部側の視点でも、加盟店側の視点でも、「契約段階で何を明文化すべきか」を学ぶうえで最重要の事例集です。

向いている人

  • 自己資金300〜500万円以上、夫婦または家族2名で運営できる
  • 最低15年の契約拘束を許容できる
  • 24時間営業前提の労働環境を理解した上で参入できる
  • ブランド力・最低保証・本部支援を活用したい
  • ドミナント出店リスクを織り込んだ経営計画を立てられる
  • コンビニ会計の構造を理解し、契約書を専門家と精査できる

向いていない人

  • 短期(5年以内)で投資回収・撤退したい
  • 家族の介護・育児で長時間労働が継続できない
  • ロイヤリティ・廃棄ロス負担の構造に納得できない
  • 24時間営業を一方的に時短化したい
  • ドミナント出店リスクを許容できない
  • 本部との交渉力格差を「労働者保護」で補完したい

加盟を検討する前に確認すべきこと

開示書面を読んだうえで、本部に確かめておきたい項目です。

  1. 提示されるのがAタイプかCタイプか。両者は加盟金・チャージ率・最低保証・中途解約金・損害賠償の算定式がいずれも違う
  2. Cタイプの場合、経営委託期間があるか。ある場合の研修費用と保証金の扱い
  3. Cタイプの場合、本部が用意する店舗が定期賃貸借契約の物件かどうか(該当すると更新を前提としない)
  4. 店舗分離型住居に該当するか。該当する場合の地域別適用金額(A地区16万円・B地区13万円・C地区9万円)
  5. 損害保険・労働保険・社会保険の加入義務と保険料の負担区分
  6. 履行補助者の要件(研修に加盟者と2名で参加する必要がある)
  7. 自己資本150万円を下回ることが解除事由に挙げられている点への対応
  8. 提示される損益モデルの前提(想定日販・想定廃棄率・想定人件費)と、そこから最低保証をどれだけ上回るか

セブン-イレブンに限らず、コンビニFCの契約前に必ず確認したい項目を挙げる。

  1. AタイプとCタイプのチャージ計算の具体例(自分の想定売上で本部チャージとオーナー総収入が幾らになるか書面で)
  2. 廃棄ロス・棚卸ロスの平均額と、これがチャージ計算に与える影響
  3. 出店予定エリアの既存セブン-イレブン店舗の距離・売上動向、ドミナント出店の予定
  4. 24時間営業の義務と、時短化が認められる条件(人手不足・家族事情等での承認実績)
  5. 契約期間15年内の中途解約条件・違約金額
  6. 最低保証2,000〜2,200万円の対象年収と、人件費・廃棄ロス控除後の実質手取り試算
  7. 既存オーナーへの直接ヒアリング機会の有無
  8. 公取委ガイドライン(FC本部による優越的地位の濫用に関する指針)の本部側遵守状況

セブン-イレブンと他のFCの位置づけ

FC加盟金初期費用目安ロイヤリティ契約期間業界HUB転用視点
セブン-イレブン260〜315万円260〜500万円(Cは生活予備費含む)A 43%/45%・C 56〜76%(累進)15年コンビニ会計・24h義務・ドミナント
コメダ珈琲店(カフェ)300万円8,000万〜1.2億円1席1,500円/月(定額)定額ロイヤリティ・卸売収益
chocoZAP(フィットネス)非公開2,000万円〜売上15%(推定)7年無人サブスク・直営→FC化
IBJ(結婚相談所)200万円200万円〜0円連盟型・ストック&フロー
公文式(学習塾)0円11万円〜授業料歩合個人教室型・自宅可

セブン-イレブンは「契約期間15年・累進ロイヤリティ・コンビニ会計」というFC契約の極限事例として、他業種FCと対比して理解する基準になる。

参考情報

【公式・一次情報】

【公的機関】

  • 公正取引委員会 コンビニ実態調査結果(2020-09-02)(jftc.go.jp)
  • 公正取引委員会 フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の指針: https://www.jftc.go.jp/
  • 厚労省 中央労働委員会 セブン-イレブン-ジャパン事件: https://www.mhlw.go.jp/

【メディア・判例解説】

  • Wikipedia ロスチャージ裁判(概観の確認に使用。本文の根拠には用いていません)
  • コンビニ加盟店ユニオン 中央労働委員会経過: https://cvs-union.net/
  • 関西テレビ 東大阪セブン-イレブン契約解除訴訟元オーナー全面敗訴: https://ktv.jp/
  • 日経 セブン契約解除元オーナー二審も敗訴: https://nikkei.com/
  • 日経BP セブン-イレブン店主敗訴確定 最高裁「労働者と認めず」(business.nikkei.com)
  • 弁護士ドットコムニュース コンビニ閉店の裏側: https://bengo4.com/
  • 旬報社 セブン-イレブン元オーナーはなぜ闘ったのか(書籍)
  • フランチャイズの窓口 セブンイレブン年収解説: https://fc-mado.com/
  • フランチャイズWEBリポート セブン-イレブンFCシステム解説: https://web-repo.jp/

加盟検討者の方へ

加盟前に押さえておきたい関連情報。

この業界の独自視点(LMP編集部)

コンビニエンスストア業界の本FCを評価する際、ビジネスモデルナビ編集部が独自に整理した視点を以下にまとめます。本部資料や大手メディアでは触れられない構造的論点として、加盟判断の材料にご活用ください。

業界の収益構造と本質的な判断軸

コンビニエンスストア業界は『セブン・ファミマ・ローソンの3大チェーンで市場の95%超』という極めて寡占的な市場で、FC加盟以外の新規参入は実質不可能。独自の収益分配構造(コンビニ会計のロスチャージ・売上総利益分配率)が業界外の小売業とは根本的に異なり、加盟者の手取り収入は本部依存度が他業界より圧倒的に高い。24時間営業義務・廃棄ロス管理・本部負担構造の3点が経営の核で、本部と加盟店の力関係は2020年公取委の加盟店保護方針強化以降も依然として大きな構造課題として残る。1店舗で年商1.5-2億円規模に達するが、本部チャージ・廃棄ロス・人件費を差し引いた加盟者の手取りは想定より小さい構造。

加盟者目線の批判的論点

コンビニFC加盟最大の構造的問題は『コンビニ会計の独自設計』。一般的な小売業では廃棄ロスは粗利減として計上されるが、コンビニ会計では『廃棄前の売価で売上総利益を計算→そこから本部チャージ』のため、廃棄ロスが多いほど本部チャージが過大になり加盟店の粗利が圧迫される構造。24時間営業義務の時短化は2019年問題以降一部緩和されたが、本部の事前承認が必要で一方的な時短は契約違反・違約金請求のリスクが残る。夫婦・家族での長時間労働で疲弊するパターンは業界全体で繰り返されており、人材確保の困難(最低賃金上昇・夜勤可能人材不足)が経営継続の最大の脅威。近隣ドミナント出店(同チェーンの近距離出店)で売上分散が発生する構造的リスクも本部資料では過小評価。

他業界との横断比較で見た本業界の独自性

他業界と比較した本業界の独自性は『本部との収益分配構造が極端に本部優位』。ファストフードも複数店舗展開を要求するが、ファストフードの粗利は加盟者側に多く残るのに対し、コンビニはコンビニ会計で本部チャージが大きく加盟者の手取りが限られる。最も近い類似業界は学習塾FC(本部教材・カリキュラム依存型)だが、コンビニは商品供給・物流・システムの全てを本部が管理する点で別格。ドラッグストア・スーパーとの境界が曖昧化(食品・PB・処方箋応需)し、業態融合が進行中。EC連携(受取・返品・ピックアップロッカー)でリアル店舗の役割が物流拠点化しており、オフィス無人コンビニ(オフィスグリコ・600・TOUCH TO GO)の急成長も含めて業態構造変化が継続。

LMP編集部の実務知見からのコメント

LMPのFC加盟店開発BPO実務経験では、コンビニFC加盟者の成功は『立地(駅前・オフィス街・住宅街・ロードサイドの見極めとカニバリ回避)×24時間営業のシフト構築×廃棄ロスの管理(コンビニ会計対応)×複数店舗展開での規模効果』の4条件で決まります。本部の年商シミュレーションだけでなく、自分が『夫婦・家族で24時間営業の体力があるか』『複数店舗展開を視野に入れる資金・経営者素養があるか』『近隣ドミナント出店のリスクを契約条件で抑えられるか』を独自検証することを推奨。1店舗・夫婦運営は本部にとって優先度が低く、契約条件・支援内容で不利になりがちな点は注意すべき。

この業界の関連情報

本FCの加盟検討は、コンビニエンスストア業界の他FC比較・開業資金・失敗事例・収益構造を併読すると判断精度が上がります。